宝の言葉がいっぱいの本

 2012年になって最初の塾通信です。第170号という切りのいい番号で、ちょっと気分がいいです。
 さて、私が今年最初に読んだ本をみなさんに紹介します。
 王貞治さんと岡田武史さんの対談集、『人生で本当に大切なこと』(幻冬舎新書)です。
 王さんは、世界最高本塁打数記録保持者(通算868本)で、現在、福岡ソフトバンクホークス球団取締役会長です。「世界の王」として、多くのメジャーリーガーからも尊敬されている王さん。野球の実力だけでなく、その誠実な人柄は球界を問わず有名です。私は、今から20年以上前に、当時、巨人の監督だった王さんに握手していただき、サインをいただいたことがありました。その色紙と、一緒に撮っていただいた写真は私の宝物です。
 一方の岡田武史さんは、サッカー日本代表を2回務められた人。2回目の日本代表のときは、ベスト16進出を果たしました。その他、コンサドーレ札幌、横浜F・マリノスの監督も歴任されました。
 この対談集、すごくいいのです。宝の言葉がいっぱい詰まっています。
 スポーツや芸能の世界に限らず、どの世界でも、持って生まれた才能と運の良さで、若くして頂点に立つ人はいます。しかし、自分に厳しくして、精進し続けていかないと、輝きは失われてしまうものです。若くして成功をおさめてしまったがために、周りにチヤホヤされ、自分を見失い、結果、逆に転落してしまう人が少なくないのです。
 この二人は違います。
 選手時代から人一倍精進し、現役引退後も指導者として活躍し、それぞれの世界で重要な地位にあります。
 王さんも岡田さんも、経歴だけを見ると生まれながらのエリートで、一般人とは違うと思ってしまいがちです。でも、この本を読めば、そうでないことがよくわかります。二人とも、たくさんの壁にぶつかり、悩み、挫折し、それを乗り越えてきたのです。そうすることで、人間的に深みが増し、魅力ある人物になったということが、二人の言葉から伝わってきます。
 帯にかかれた言葉をいくつか紹介します。

◆右肩上がりの人生なんてない。常にジグザグに進んでいく
◆壁が大きいほどチャンスになる
◆迷う暇があったら、とにかく一歩踏み出す
◆目標は高ければ高いほどいい
◆人生は「出会い」で好転する
◆「運」は誰にでも平等に訪れる
◆分かれ道では直感に従う
◆すぐに結果を求めない

 この本の副題は、「壁にぶつかっている君たちへ」です。つまり、この対談集は、若い人たちへのメッセージになっているのです。
 尚朋スクールの塾生のみなさんには、是非、この本を読んでほしいと思います。できれば、自分のおこづかいで買ってもらいたいです。買うつもりだった何かを我慢してでも、この本を買って下さい。お年玉で買ってはいかがですか。
 たくさんの宝の言葉が詰まった本が、たった800円弱で自分のものになり、自分がレベルアップできるのです。安いものですよ。
 この本を読めば、みなさんの何かが変わる、と思います。

『Step By Step 1月号 第170号』 (2012年1月10日発行)より