受験はドラマだ

 各私立高校の合格発表がありました。当塾の塾生は、全員が私立高校に合格しました。また、小山高専の推薦入試を受験した塾生も無事合格しました。中学3年生のみなさん、合格、おめでとうございます。

 ほっと一息ですね。しかし、ここで気を抜いてはいけませんよ。

 先日、ある中3生が、次のようなことを言ってきました。

 「この間のテスト、すごく良かったです。自分でも力がついてきたと実感しています。入塾のとき、先生に、これからしっかりと勉強していけば、時間はかかるけど必ず伸びると言われました。それは、本当だったんですね」

 この塾生は、目を輝かせ、とてもうれしそうでした。

 この言葉を聞いて、私は本当に良かったなと思いました。

 中学3年生は、思春期真っ只中です。この時期に自分の進路を決定します。そして、志望校に向けて、一生懸命に勉強しなければなりません。それは、辛く、苦しいことです。成績が伸びずに焦りを感じたり、成績を伸ばしている友達に嫉妬したり、成績が上がったといっては喜んだり、下がったといっては傷ついて打ちのめされたり。受験生の感情は、振幅が激しいものです。私の大好きな歌人、石川啄木の歌のようです。しかし、仲間と競い合い、励まし合いながら、それぞれの目標に向かってがんばることは、とてもすばらしいことです。真剣に授業を受けているみなさん、自習室で黙々と鉛筆を走らせているみなさん、使い込んだ問題集を持って質問にくるみなさん、面接の練習で緊張した表情のみなさんを見ていると、「みんな、輝いているな」と思い、感動します。

 今は辛く、苦しい受験勉強です。しかし、いつか懐かしく感じる時がくるものです。そのときの感情は、「やり切った」という満足感かもしれません。「もうちょっと頑張れたかな」という、ほろ苦い思いかもしれません。いずれにせよ、一生懸命にがんばった人だけに残る「大切な思い出」です。それは、みなさんの自信になり、宝となるはずです。つくづく、「受験はドラマだ」と思います。

  こころよく 我にはたらく仕事あれ それを仕遂げて死なむと思ふ  石川啄木 

  「仕事」を「受験勉強」に置きかえて、このくらいの気持ちで受験に臨んで下さい。あくまでも、気持ちですよ。

 県立高校の入試まで、40日を切りました。

さあ、気を引き締めて、ギアを上げてがんばりましょう!

『Step By Step 2月号 第261号』(2019年1月28日発行)より