第18回 粥川すず著『エリートは學び足りない』(モーニングKC)

マンガ、粥川すず著『エリートは學び足りない』(モーニングKC)を読んだ。

舞台は大正時代の旧制高校である。
野生児の大石君は親友が欲しかった。そして、新入生入寮の日に、文芸新人賞を受賞してすでに有名だった梅原君を親友と決め、「親友になってくれ」と猪突猛進で攻めまくる。
『エリートは學び足りない』は、この二人を軸に物語は進む「旧制高校友情コメディー」である。

旧制高校は、明治から昭和前期に日本にあった高等教育機関である。
現在の高校と違って、「四年制大学の教養部」といった位置づけであった。
入学枠は非常に少ない。全寮制の男子のみの超エリート教育機関だ。
旧制高校はどんどん増えていって、一番多い時で約40校存在した。
そのなかでも「ナンバースクール」という第一高等学校から第八高等学校はさらに「狹き門」であった。

時期にもよるが、学科を選ばなければ、旧制高校の卒業生は帝国大学(東京、京都、東北、九州、北海道、京城、台北、大阪、名古屋)に入学できたそうである。
戦後、日本の植民地であった京城(現在の韓国のソウル)、台北(台湾)は廃止され、残りの7校が新制大学、いわゆる受験界での「旧帝」になった。
旧制高校に入学することは、現在の難関大学に入学するよりもはるかに難しかったと思う。

学帽にマント、下駄に手拭い、バンカラな学生たちが、寮生活の中で、酒を飲み、煙草を吸い、文学書や哲学書を読み、人生を語る、旧制高校にはそんなイメージがある。

昔々、文学部史学科の学生だった私は、「明治期の師範学校」をテーマにして卒業論文を書いた。その流れで旧制高校についても調べてみた。
そんなわけで、このマンガはとても興味深く読むことができた。

第2巻の発売は今年の12月頃だそうだ。
今からとても楽しみである。

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