毎年、「今年の3冊」を「保護者通信」で発表している。
2022年の私の「今年の3冊」は以下である。
- 島田雅彦著『君が異端だった頃』(集英社文庫)
- 鈴木忠平著『虚空の人』(文藝春秋)
- 鈴木エイト著『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)
上記2冊については、すでに当ブログで感想を書いた。
そちらをお読みいただければ幸いである。
今回は、残りの1冊、鈴木エイトさんの『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)について書きたいと思う。
今年の7月8日、参院選の応援演説中に安倍晋三元首相が統一教会の2世信者に銃撃された。
この事件後、自民党と統一教会の長年に渡る深い関係と闇が少しずつ明らかになってきた。
安倍家は、三代に渡って統一教会とかなり濃厚な関係にあったのだ。
三代とは、安倍晋三元首相の祖父である岸信介氏、父の晋太郎氏、そして晋三氏自身である。
この本によれば、安倍元首相は、第一次安倍政権の失敗を機に、統一教会との関係をさらに深めていったようだ。
そして、いつの間にか一線を越えてしまったのである。
「親分(安倍元首相)がそうなら」と、多くの自民党議員たちも統一教会との関係を深め、切っても切れないものになっていった。
議員は統一教会に選挙協力してもらい、統一教会の教義が政治に反映されてゆくことになった。
約30年間、教団が反社会的な活動を続けていても、統一教会と自民党の関係について、大手メディアをはじめとしてほとんどのメディアは報道してこなかった。
「政治の力」が働いていたため、野放しにされていたのだ。
そして、多くの国民は、何も知らず、普通に生活していたのだ。
私もほとんど知らなかったので、真実を知り、非常に驚いている。そして憤っている。
約20年に渡ってこの問題を取材し続けてきたのがジャーナリストの鈴木エイトさんである。
エイトさんは、発表の場がほとんどなくても、取材を続け、統一教会と自民党との関係を追求してきた。
発表するあてもないまま原稿を書き続けていたそうだ。
もし、エイトさんがいなかったら、統一教会と自民党の関係は、ここまで明らかになっていなかったはずだ。
エイトさんは言う。
信者の人権を無視してその人生を奪う教団も問題だが、その信者を私利私欲のために使い捨てにする政治家は更に問題視されるべきだ。
ここにエイトさんの原動力がある。
政権与党である自民党と統一教会との関係は、今後も追求され続けなければならない。 『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』は、国民必読の書であると思う。