昨日の午前中は雪景色だった。
「このまま降り続けると授業ができなくなるかも」と心配したが、雪は途中から雨に変わり、特に問題なく授業を行うことができてほっとした。
大人になると、雪が降るとうんざりする。
私の場合でいえば、「授業ができなくなるかも」「駐車場の雪掻きをしなければ」とか、「余計な仕事が増えて困るな」などと思ってしまうのだ。
純粋に雪を楽しめなくなっていることを残念に思う。
以下は、雪が降ると必ず思い出す句だ。
ゑみもしてあるくや雪の一日目
この句は、私の大学の先輩であるSさんの句である。
Sさんが当時所属していた俳句結社誌Kに掲載されたものだ(2001年4月号)。
そして、その結社の代表に取り上げられ、鑑賞もされていた。
この句、「笑み」と書かずに「ゑみ」と、そして「歩く」と書かずに「あるく」とひらがなで表記されている。
ここに雪の柔らかさ、ふわふわとした感じが出ていて、とてもいいなと思う。
Sさんは、大学時代から俳句を作り、学生にもかかわらず、東京にあったAという中規模の結社(会員・同人あわせて500人くらい)の同人だった。
若く、実力もあったため、結社の主宰からも可愛がられていたようだ。
しかし、主宰の急逝により結社Aは3つか4つに分裂した。
Sさんはこのどれにも属さず、まったく関係のない小さな結社K(神奈川県)に入った。
私は30歳前後の頃に俳句に興味を持ち、初学の初学のその時期にSさんから俳句の手ほどきを受けた。
その後、いろいろあって関係が切れてしまったのだが、それでもこの句をはじめとしたSさんの句は今でも大好きだ。
Sさんは当時の仲間(私の先輩)だった人たちとも関係が切れ、体調を崩し、長年住んでいた東京を去り、日本海側にある雪深い故郷に戻って行った。
その後、Sさんがどうしているかは誰も知らない。
Sさん、雪深い故郷で冬には雪の句を詠んでいるのだろうか。