6月19日は桜桃忌。
無頼派作家である太宰治の忌日である。
晩年の作品「桜桃」から名づけられた。
太宰好きの私は、桜桃忌が近づくと、太宰の作品を読み返し、「桜桃忌」「太宰忌」で俳句を作るようにしている。
今年は例年より熱が入っていて、6月に入ってから「太宰治強化月間」と銘打って、太宰の作品を読んでいる。
学生時代、太宰のお墓がある東京三鷹市の禅林寺の桜桃忌に参加したことがあり、また、太宰の故郷の津軽へ一人旅もした。太宰の生家・斜陽館は当時旅館だったので、そこに宿泊してきた。
太宰の魅力はたくさんあるが、その一つは独特の文体だ。
読者に語りかけているような文体に、若者はコロッとやられるのである。もちろん、私もやられた口だ。
また、作品の中に決め台詞が散りばめられていて、それがとてもかっこいいのだ。
以下、思いつくままに紹介する(作品発表順ではありません)。
『人間失格』
恥の多い生涯を送ってきました。
ただ、一さいは過ぎて行きます。
◆『お伽草子』の「カチカチ山」
曰く、惚れたが悪いか。
◆『走れメロス』
中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。
◆『家庭の幸福』
曰く、家庭の幸福は諸悪の本。
◆『桜桃』
子供より親が大事、と思いたい。
◆『晩年』の「葉」
死のうと思っていた。
◆『富嶽百景』
富士には月見草がよく似合う。
まだまだたくさんある。
私の個人的な体験だが、「太宰好きの人」や「太宰が好きだった人」と話をするのは非常におもしろいのだ。
太宰が好きでなかったとしても、若い頃に太宰を読んだ人は、そうでない人と違う印象がある。
作家の好き嫌いはあるが、是非、若い人には「太宰治」を体験して欲しいと思う。
よかったら、太宰について大いに語り合いましょう。
木も道も人も濡れたり桜桃忌