第62回 キャッチボール

9月某日、大学生の次男が戸籍謄本をとるために帰省した。
翌日、久しぶりにキャッチボールをしようということになった。

子どもたちとは、彼らが幼稚園児の頃から高校生までの間、よくキャッチボールをしたものだ。
しかし、次男が大学進学のため上京してからは、まったくキャッチボールをしていなかった。
約1年半もの間、やっていなかったことになる。

久しぶりのキャッチボール、次男の投げ方がぎこちなくて、つい笑ってしまった。
私だけでなく、次男も私と同じブランクがあったようだ。

高校までは体育の授業があって、運動部でなくても運動する機会がある。
しかし、高校を卒業して大学生になると、運動系の部活やサークルに入らなければ運動する機会がなくなってしまう。
そして、体力が落ちたことを実感するものだ。

次男は「なんかおかしいなぁ」と言いつつ、10分くらいやっていて、やっと感覚を取り戻したらしい。
それからしばらくはいろいろと話しながらキャッチボールをした。

親子でするキャッチボール、友人とするキャッチボールは、話しながらするものなので、最高のコミュニケーションである。

私の大好きな映画「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)、そして大林信彦監督の「異人たちとの夏」(1988年)にも、それぞれの主人公が自分よりも若い父(つまり幽霊なのだが)とキャッチボールをするシーンがある。

「フィールド・オブ・ドリームス」も「異人たちとの夏」もとても感動的なシーンである。
「親子でするキャッチボールはいいものだな」とつくづく思う。

「10分だけやろう」と始めたキャッチボールも、気づいてみたら20分もやっていた。
「そろそろ終わりにしよう」と話していたら、次男が大暴投し、ボールは草むらの中へ。

ボールを捜して草をかき分けていたら、ジャージに大量の植物の種(ひっつき虫)がついてしまった。
これをすべて取るのに30分くらいかかってしまった。

こうして約1年半ぶりのキャッチボールは終わった。
ひっつき虫の件は余計だったが、いい汗をかいて、気分もすっきりした。

受験生のみなさん、気分転換にキャッチボールはいいですよ。

最後に、キャッチボールの歌を紹介してこのブログを終わりにします。

的大き兄のミットに投げこみし健康印の軟球(ボール)はいずこ 

小高賢

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