第95回 春の新聞週間に

4月6日から一週間は「春の新聞週間」だった。
ということで、過去に書いた拙文を紹介します。
以下は、2023年の東京新聞(9月21日朝刊)に掲載されたものです。

「権力に忖度しない新聞であって」

10日社説で、桐生悠々が紹介されていた。この日が悠々の命日だとは知らなかった。

世の中が軍国主義に傾いてゆく中、悠々は在郷軍人会の圧力で職場を追われながらも、個人誌「他山の石」を発行して言論活動を続けたという。困難な状況にめげず、国民に真実を伝えようとしたことは相当勇気が要ったはずだ。あの時代の日本に桐生悠々がいたことに勇気づけられる。

社説には「『言いたいこと』ではなく、権力者に対して『言わねばならないこと』を言い続けることが新聞などの言論の役割なのです」と書かれていた。まさにその通りだ。

残念ながら、いつの間にか日本では権力者に忖度する報道ばかりになってしまった。コロナ禍で、その流れはさらに加速したと感じる。大手メディアの報道だけでは、日本で今起こっていることや問題点は分からないだろう。SNSを利用して自ら正しい情報を得ようとしている人と、権力に忖度した報道を垂れ流すテレビや新聞に触れているだけの人とでは、見えている世界がかなり違っているのではないだろうか。

新聞離れが言われて久しい。その背景には、新聞自体が金を払ってまで読む価値がなくなってしまったことあるのではないか。

そのような中、東京新聞はジャーナリズム精神を失っていない数少ない新聞だと信じている。これからも東京新聞には「権力におもねらない新聞」であってほしいと思う。

コメントを残す

コメントは管理者に送信され、基本的に公開はされません。
なお、メールアドレスを入力いただいた方には、コメントへの返信をメールでお送りする場合があります。
※特に返信が必要な場合はお問い合わせフォームをご利用ください。