早見和真著『アルプス席の母』(小学館)を読む。
早見さんの野球小説はおもしろい。
早見さん自身が高校野球の名門校(桐蔭学園高)の野球部出身(補欠)だったこともあり、物語の細部がとてもリアルなのだ。
高校野球の名門校の補欠選手の葛藤を描いたデビュー作『ひゃくはち』も最高におもしろかった。この映画は3回(劇場で1回、DVDで2回)見た。
『アルプス席の母』は、高校野球の名門校に進学した息子の母が主人公である。
主人公の秋山菜々子の視点で、名門野球部の保護者としての葛藤、母一人息子一人の親子関係、息子への思いなどが丁寧に描かれている。
物語の後半は、涙なくしては読めなかった。
最後の最後で気づいた。
主人公の息子秋山航太郎のモデル(の一人)は、プロ野球選手の秋山翔吾選手だと。
高校野球に関係する人はもちろん、野球に興味のない人にも読んでもらいたい一冊である。
絶対に「読んで良かった」と思うはずだ。
この作品は、いつか映画になると思う。