河﨑秋子著『愚か者の石』(小学館)を読む。
河﨑の作品を読むのは直木賞受賞作の『ともぐい』に続き2冊目。
今回も力強い作品だった。
明治18年、自由民権運動に加わったことで国事犯とされた主人・瀬戸内巽は、徒刑13年の判決を受け、北海道の樺戸集治監に送られる。
収容所での過酷な日々、そしてさらに過酷な釧路集治監に送られ、硫黄採掘に従事させられる。
物語は、主人公と同房の山本大二郎、そして看守の中田を中心にまわっていく。
明治時代の裏側史を見るようで興味深かった。
また、ストーリーの終盤は、山本大二郎の秘密を探る謎解きとなっていて、最後まで一気に読むことができた。
そして、いろいろと考えさせられる作品だった。
明治時代を理想化する人も多いが、改めて、庶民にとって明治はちっとも良い時代ではないということを再確認した。