以下は下野新聞(2025年1月28日)に掲載された拙文です。
戦時下のような思考停止は危険
元日の本紙に、人類学者の磯野真穂氏と作家の小林エリカ氏の基調対談「明日へ歩みを進める」があり、たいへん興味深かった。対談中、両氏は「コロナ禍」の日本社会の様子を戦時中と似ていると指摘していた。
確かに、コロナ禍当時は全体主義的な空気がまん延していた。多くのメディアは国の方針を無批判に報道するだけだった。戦時下はこのような雰囲気だったのだろうと感じた。もちろん感染症が広がっている時は一定の行動制限は必要だ。しかし、国民が思考停止となり「右へ倣え」の行動をとるのは問題だ。
歴史で戦争の恐ろしさやファシズムの危険性について学んでも、人間は同じような行動を繰り返してしまうのだ。今年は戦後80年、激動の昭和から100年に当たる。戦争や報道の在り方などについて考えていきたい。