第189回 保阪正康著『軍国主義という病がひそむ国』

保阪正康著『軍国主義という病がひそむ国』(東京新聞)を読む。

この本は、東京新聞が2021年から24年の毎年8月に主催したオンライン講演会がもとになっているそうだ。
講演会がもとになっているだけに読みやすく、知ること、学ぶことが多い一冊だった。

今回の参院選では、「核武装が安上がり」とか「核兵器を保有すべきだ」などという政党が躍進した。
今の日本の政治を見ていると、とても危険だと思う。

今年は戦後80年。
戦争経験者が少なくなった今こそ、「平和国家日本」の進むべき道を真剣に考えるべきだと思う。

今日は「原爆忌」「広島忌」である。

水飲みて鳩と目の合う原爆忌  鈴木三光子

第188回 西村京太郎著『戦争とミステリー作家』

西村京太郎著『戦争とミステリー作家』(徳間書店)を読む。
西村京太郎さんは売れっ子のミステリー作家だった。

タイトルと副題の「なぜ私は『東條英機の後輩』になったのか」に興味を持ったので読んでみた。

この本の構成は六章と特別編からなるが、第一章から第四章までが戦中と戦後の混乱期についての記述。
第五章が小説家になるまでのこと、第六章が京都論、特別編が盟友の作家・山村美紗さんについて。

私はミステリー小説は読まないので、西村さんの小説は読んだことはない。
ただ、西村さん原作の小説がドラマ化されて、頻繁に放送されていたことは知っていた。

私にとっての西村さんは、中学生時代に購入した本、『四季日本の旅9 京都』(集英社)の中の随筆「京の女」である。
この随筆はわずか3ページの文章だが、東京出身の西村さんが京都に住み始めて感じた京都や京都人の怖さについて書かれていて、大きな影響を受けた。
『戦争とミステリー作家』には、この内容がより詳しく書かれていて興味深かった。

西村京太郎さんと山村美紗さんの関係は本当に不思議だ。
この二人の関係について書かれた本があるようなので、いつか読んでみたいと思う。