第197回 鳥嶋和彦著『ボツ』

鳥嶋和彦著『ボツ』(小学館集英社プロダクション)を読む。

この本は、聞き手の天野龍さんが鳥嶋さんにインタビューし、それを一冊にまとめたものである。

鳥嶋さんは「Dr.マシリト」として有名な、マンガ雑誌『ジャンプ』の伝説の編集者だ。
『ボツ』の副題は、『少年ジャンプ』伝説の編集長❝嫌われる❝仕事術。

鳥嶋さんは、鳥山明さんの才能を見出し、『Dr.スランプ』『ドラゴンボール』で鳥山さんを売れっ子マンガ家にした。
その厳しすぎる姿勢は、陰険で性格の悪い「Dr.マシリト」として、鳥山さんのマンガに何度も登場する。

鳥嶋さんは、常に、作家、同僚、さらには上司や会社に対しても厳しい視点で見ている。
まったくブレない。
その理由は、常に読者を第一に考えているからだ。
この点が、並の編集者とは違うところだ。

二人三脚で歩んできた鳥山明さんは天才マンガ家であり、鳥嶋さんは天才編集者だと思う。

『ジャンプ』編集部の裏側、マンガ家のこと、ヒット作の秘話などが詳しく語られていて、とても興味深い一冊だった。
また『Dr.スランプ』と『ドラゴンボール』を読み返そうと思う。

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