以下は東京新聞(2025年9月8日)に掲載された拙文です。
「香害」もっと重く受け止めて
「『香害』苦しみわかって」の記事(8月22日特報面)を読んだ。最近、この問題がメディアで取り上げられることが多くなった。それだけ健康被害を訴える人が増え、大きな社会問題になっているということなのだろう。
私は学習塾を約30年間、経営しているが、4年ほど前から、保護者や生徒たちに「香害」の問題について積極的に情報発信するようにしている。生徒たちの衣類の柔軟剤のにおいが、どんどんきつくなっていると感じたからだ。塾の経営のことを考えると、少々、言い出しにくかったが、思い切って注意喚起したところ、教室内の空気は、以前より改善されたと感じられるようになった。
衣料用洗剤や柔軟剤の香料に含まれる人工化学物質は、頭痛、目まい、鼻血、下痢、倦怠感など、さまざまな体調不良を引き起こすことがある。また、集中力や記憶力の低下、眠くなるなど、子どもたちの学習面にも、悪影響を及ぼすことがある。しかし、これらの症状が身の回りの化学物質が原因だと気付かない人が多いのだ。
交流サイト(SNS)をのぞいてみれば、多くの人が香害による苦しみを訴えている。香害問題について啓発するパネル展や勉強会などは全国的な広がりをみせてきている。子どもたちの心身の健康を守るためにも、文部科学省や都道府県の教育委員会などには、この問題を重く受け止め、もっと迅速に対応してほしいと願っている。
