2024年の最初に読了した本は、多井学著『大学教授こそこそ日記』(三五館シンシャ)である。
この本は「汗と涙のドキュメント日記シリーズ」の1冊で、それぞれの業界で働く仕事人が、リアルな実態を包み隠さず書くという、とても興味深い本だ。
もちろん、みんなペンネームを使用している。
多井学さん(仮名)は1961年生まれ。
日米の大学を卒業後、カナダの大学院で修士号を取得。
大手銀行を経て、短大の専任講師、某国立大を経て、現在、関西私大のKG大(関西学院大学)に勤務している現役教授である。
研究者になるまでの苦労(大学の専任教員になるのはギャンブルに近い)、弱小オーナー短大の労働条件の悪さ、大学内部の問題など、ユーモアと自虐ネタを込めてリアルに紹介してくれている。
興味深い内容で一気に読んだ。
しかし、ラストは本当に悲しく、しみじみとした内容で、生きる悲しみのようなものがひしひしと伝わってきた。
三五館シンシャの「汗と涙のドキュメント日記シリーズ」の魅力。
それは、社会人は、失敗も成功もあるが、それぞれの分野で、喜びや悲しみを味わいながら、一生懸命に働き、精一杯生きているということが伝わってくるところだ。
是非、若い人たちにも読んで欲しいシリーズなのである。