第7回 『歴史・時代小説教室』を読む

安部龍太郎・門井慶喜・畠中恵著『歴史・時代小説教室』(文春新書)を読んだ。
これは歴史・時代小説を書きたい人向けに行ったオンライン講座を本にしたものらしい。
歴史・時代小説の分野で活躍されているお三方が各1回、司会者の質問、受講者の質問に答えるという対談形式で進んでいく。

お三方のお名前は書店でよく見かけるが、私が実際に読んだことがあるのは門井慶喜さんのみ。ちなみに門井さんは宇都宮東高出身で、栃木県と縁のある方だ。

私は歴史小説や時代小説を好んで読む。だから、プロの作家がどのような準備(取材や史料収集など)をして、どのような心構えで書いているのかということについて非常に興味があった。

この本でお三方は、史実とフィクションとの兼ね合い、史料を読む時間と執筆に当てる時間の配分、どんな史料を利用しているのか、史料の整理方法、登場人物の会話の文体はどうしているのかなど、その裏側を惜しげもなく開陳してくれている。最初から最後まで「目から鱗」といった内容であった。
歴史小説や時代小説を書こうという気持ちのない人(もちろん、私もないが)にも読んでほしい一冊である。

この本をきっかけに、これまで読んだことのなかった安部龍太郎さんと畠中恵さんの小説を買ってきて読み始めた。そして、安部龍太郎さんの『家康①』(幻冬舎時代小説文庫)は私の心にヒットした。現在、文庫本で6巻まで出ているようなので、しばらくの間は楽しめそうである。