第60回 嫌な感じ

8月24日、福島第一原発の「処理水」の海洋放出が始まった。
これに対し中国が激しく反発した。
これを受け、中国に対し「中国はけしからん」「中国は日本の敵だ」といったことを主張する人々がいる。
「日本の魚を食べて中国に勝とう」などと頓珍漢なことを言ってナショナリズムを煽るジャーナリストもいて、本当に情けなくなる。

そもそも、福島の漁業関係者の理解を得ることなく、また諸外国の理解を得ることなく「処理水」の海洋放出を始めたのは日本なのである。
この「処理水」の海洋放出は30年は続くと言われている。
おそらく、30年ではすまないだろう。
もっともっと長期に及ぶはずだ。

この「処理水」は本当に安全なのだろうか?
私は水俣病を、サリドマイド薬害を、薬害エイズを思い出した。
すべて、最初は、国は安全といい、不安を感じる人たちの声を無視してきた。
そうしているうちに、被害はどんどんと拡大していったのである。

また同じことを繰り返すことになるのではないか?
私はとても嫌な感じがしている。

今、国や政治家がすべきことは、福島産の海産物を食べて安全性をアピールすることでも、中国を敵視してナショナリズムを煽ることでもない。
今すぐ「処理水」の海洋放出中止を決断することなのである。

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