三宅香帆著『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(集英社新書)を読む。
今年の4月に出版されて、かなり話題になっている本である。
「まあ、確かにそうだよね」という感想。
「最終章『全身全霊』をやめませんか」がとくに印象に残った。
日本人には、そしてアメリカ人にも、「燃え尽きることがすばらしいこと」という価値観がある。
著者は、仕事、高校野球、箱根駅伝、情熱大陸などを例に挙げる。(P250)
そして、燃え尽き症候群、バーンアウトの行き着く先は鬱病に至ると言う。
確かにそうなのかもしれない。
ではどうすればよいのか?
著者は、「働きながら本を読める社会をつくるために」、「半身で働く」こと、それが可能な社会にしようと提唱する。(P266)
著者が提唱するような社会になれば、それはすばらしい。
しかし、日常的に読書する人が減りつつある現代、「半身で働く社会」になったとして、人々は読書するようになるのだろうか?
それはまた別の話である。