第34回 今年の3冊

毎年、「今年の3冊」を「保護者通信」で発表している。
2022年の私の「今年の3冊」は以下である。

  • 島田雅彦著『君が異端だった頃』(集英社文庫)
  • 鈴木忠平著『虚空の人』(文藝春秋)
  • 鈴木エイト著『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)

上記2冊については、すでに当ブログで感想を書いた。
そちらをお読みいただければ幸いである。

今回は、残りの1冊、鈴木エイトさんの『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』(小学館)について書きたいと思う。

今年の7月8日、参院選の応援演説中に安倍晋三元首相が統一教会の2世信者に銃撃された。

この事件後、自民党と統一教会の長年に渡る深い関係と闇が少しずつ明らかになってきた。
安倍家は、三代に渡って統一教会とかなり濃厚な関係にあったのだ。
三代とは、安倍晋三元首相の祖父である岸信介氏、父の晋太郎氏、そして晋三氏自身である。

この本によれば、安倍元首相は、第一次安倍政権の失敗を機に、統一教会との関係をさらに深めていったようだ。
そして、いつの間にか一線を越えてしまったのである。
「親分(安倍元首相)がそうなら」と、多くの自民党議員たちも統一教会との関係を深め、切っても切れないものになっていった。
議員は統一教会に選挙協力してもらい、統一教会の教義が政治に反映されてゆくことになった。

約30年間、教団が反社会的な活動を続けていても、統一教会と自民党の関係について、大手メディアをはじめとしてほとんどのメディアは報道してこなかった。
「政治の力」が働いていたため、野放しにされていたのだ。
そして、多くの国民は、何も知らず、普通に生活していたのだ。
私もほとんど知らなかったので、真実を知り、非常に驚いている。そして憤っている。

約20年に渡ってこの問題を取材し続けてきたのがジャーナリストの鈴木エイトさんである。

エイトさんは、発表の場がほとんどなくても、取材を続け、統一教会と自民党との関係を追求してきた。
発表するあてもないまま原稿を書き続けていたそうだ。

もし、エイトさんがいなかったら、統一教会と自民党の関係は、ここまで明らかになっていなかったはずだ。

エイトさんは言う。

信者の人権を無視してその人生を奪う教団も問題だが、その信者を私利私欲のために使い捨てにする政治家は更に問題視されるべきだ。

ここにエイトさんの原動力がある。

政権与党である自民党と統一教会との関係は、今後も追求され続けなければならない。 『自民党の統一教会汚染 追跡3000日』は、国民必読の書であると思う。

保護者の皆様へ 【ご理解とご協力のお願い】

「塾に来る日は除菌消臭スプレーの使用はお控え下さい」

ここ最近、コロナの影響もあり、除菌消臭スプレーの使用が増えています。

昨日の中3クラスでは特に顕著でした。

まだ知らない方も多いのですが、除菌消臭スプレーは、頭痛、倦怠感、免疫力の低下、様々なアレルギー発症などの原因となります。

また、集中力の低下、記憶力の低下など、学習面においても非常にマイナスであることが報告されています。

コロナ禍の中、除菌消臭スプレーの使用が増え、それがきっかけで化学物質過敏症(cs)を発症している人も増えています。

実は、私自身が化学物質過敏症です(2001年発症)。

化学物質過敏症は、少しずつ、長期間に渡って化学物質を吸い続けることによって発症してしまいます。

このままでは、子供たちが化学物質過敏症を発症してしまうのではないかと心配になりました。

当塾では、子供もたちの健康に配慮し、勉強に集中できる環境を整えたいと考えております。

以上の理由から、当塾にいらっしゃる際は、除菌消臭スプレーなどの使用はお控え下さい。

※また、「香り長持ちの柔軟剤」も同様の健康被害が指摘されています。

ご理解とご協力をお願い致します。

第33回 古本を売る

昨日、ブックオフへ行って、古本を売ってきた。
今年3回目の処分である。

昨日は、44冊の本を売って1,340円だった。
今年3回の合計は、74冊で2,415円。
ずいぶんと安く買い取られたなと思う。

それでも、本はどんどん増殖して置き場に困るので、定期的に処分しなければならない。
とくに、マンガがかさばる。

「メルカリで売れば高く売れるよ」とアドバイスしてくれた知人がいたが、なんだか面倒でやったことはない。
写真を撮って、ネットに上げて、売れるまで待って、売れたら梱包して送る。
買いたい側から値引きの交渉をされることもあるとか。
かなり時間がかかりそうだ。その手間を考えると、とてもやる気が起きない。

なかには、ブックオフで古本を買ってきて、それをメルカリで高く売って儲けている人もいるとか。
よくやるなと思う。

値段はともかく、不要な本を売ってくると、さっぱりして少し気分が良くなる。
掃除をすると気持がよくなるのと同じ。

俳人の長谷川櫂さんに次の句がある。

五千冊売つて涼しき書斎かな

本の整理はとても大変なのだが、なかなか楽しい作業でもある。

大きく飛躍した塾生もたくさんいました

2学期期末テストの結果が出て、塾生たちが成績表を持ってきました。

塾生全体としては、前回の定期テストよりも学年順位が上がった人が多かったです。

とくに中学2年生の飛躍が目立ちました。
前回の定期テストから、20位アップ、18位アップした人がいました。
入塾してから地道に努力してきた結果が出たのです。

全体としては、ある教科の点数が5倍以上上がった人(平均点は前回とそれほど変わりません)、順位が5位~10位近く上がった人はたくさんいます。
もちろん、順位が上位で安定している人も複数います。

正しい学習を始めて、結果が出るまでには時間がかかります。
数か月で結果が出る子もいれば、半年から1年近くかかる子もいます。
しかし、尚朋スクールで努力し続けている人は、必ず結果が出ています。

今回結果が出なかった人も、諦めることなく、引き続き努力して下さい。
結果が良かった人は、今の成績を維持して、さらに上を目指してがんばって下さい。

尚朋スクールは塾生のみなさんを応援しています!

第32回 鮫島浩著『朝日新聞政治部』(講談社)

鮫島浩著『朝日新聞政治部』(講談社)を読む。

鮫島氏は朝日新聞の敏腕記者だった。
以下、著書略歴より。

(前略)2012年に調査報道に専従する特別報道部デスクとなり、翌年「手抜き除染」報道で新聞協会賞受賞。2014年に福島原発事故を巡る「吉田調書」報道で解任される。2021年に退社してウェブメディア「SAMEJIMA TIMES」を創刊し、連日記事を無料公開している。

本の帯には、「すべて実名で綴る内部告発ノンフィクション」と書かれている。
しかし、この本は決して下品な暴露本ではない。
本書を読んでいると、朝日新聞社という巨大メディアが、いかに官僚的な組織であるかがよく分かる。
朝日新聞が権力に取り込まれ、政権に忖度し、国民からの批判に萎縮し、腐敗してゆく姿が描かれている。
社内の権力闘争がお盛んである。
「新聞社がこれではダメだな」と思った。

もちろん、これは朝日新聞社だけのことではないだろう。
いわゆる全国紙、テレビではNHKや民放の各局(一部を除く)はどこも同じだろう。
なるほど、いわゆるマスメディアの切れ味が悪くなるはずである。
そして、ジャーナリズム精神の喪失、ネット社会への変化もあり、新聞の販売部数はどんどん減っている。テレビ離れも進んでいる。

この本には、全国紙朝刊販売部数の推移が書かれている。
1994年の朝日新聞の朝刊販売部数は822万3523部、2021年は466万3183部。

ちなみに、私が学生時代から30年以上購読し、今年の7月で購読を止めた毎日新聞は、1994年の朝刊販売部数は400万9317部、2021年は199万7076部。
毎日新聞もどんどんジャーナリズム精神を失ってゆき、ここ数年の報道は本当にひどかった。
毎日新聞の文化面は好きだったのだけれど、さすがに嫌気が差して7月いっぱいで購読を止めたのである。

現在、私は東京新聞と下野新聞を読んでいる。
大きな事件があったときは全国紙(朝日、毎日、読売、産経)にも目を通すようにしている。

鮫島氏は著書で言う。

インターネットの登場でオールドメディアは情報発信を独占できなくなり、メディアの多様化・細分化が進んだ。ITの力を借りれば、取材も執筆も編集も宣伝も制作も経営も一人でできる時代が到来したのだ。芸能人が芸能事務所を離れてユーチューバーになる時代である。巨大な分業体制の新聞社に競争力はない。一方で、たった一人の「小さなメディア」には勝機がある。

確かに鮫島氏の言う通りだと思う。
今では誰でも情報を発信できる。Twitterで話題になっている情報が、一週間遅れくらいでテレビでのワイドショーで放送されることも多い。
また、大手新聞やテレビのキー局では放送されないディープな情報をネットで収集できる時代なのだ。

ただし、私はオールドメディアである新聞が大好きだ。
やはり、新聞は電子版ではなく、これからも紙で読みたいと思っている。

『朝日新聞政治部』は非常に読み応えがある一冊だった。

第31回 アドレス帳

前回、昭和の終わりから平成になったばかりの風景を書いたので、今回もその頃のことを書こうと思う。

当時は、スマホは存在しなかった。
携帯電話はあるにはあったが、今の500mlのペットボトルよりももっと大きいサイズで、ほとんど普及していなかった。
みんな固定電話を使っていたのだ。
そして若者は、常に「アドレス帳」を持ち歩いていたのである。

アドレス帳は、今の小さな手帳、メモ帳くらいの大きさだった。
飲み会などで知り合ったりすると、お互いに、自分のアドレス帳に住所や電話番号を書いてもらったものだ。
気軽に書いたり、書いてもらったりしていた。
結局、アドレス帳に書いてもらっても、一度も電話をかけず、再会することなく、関係が終わる場合が多かった。
今の「名刺交換」くらいのノリだったのだと思う。


あれは私が大学二年生の時。
晩秋から初冬の頃、ちょうど今と同じ時期だった。
史学科(国史学専攻)の学生だった私は、国文科の友人Mと一緒の授業(国史概説)を受けた後、それぞれのアパートに帰るために一緒の電車に乗っていた。
車内に柔らかい日差しが入り込み、Mの顔を照らしていた。

二人で話をしていると、Mはカバンからアドレス帳を取り出してページを繰り始めた。
横に座っていた私に、自然とそのアドレス帳が目に入ってきた。
よく見ると、それぞれの名前の横に、AとかDとか、アルファベットが書いてあるではないか。
不思議に思った私はMに、「このAとかDって、何なの?」と訊ねた。
するとMは、少し気まずそうに「今の自分との関係」と笑った。

私は驚いた。そして、自分は一体何なのか気になった。
そこで、「俺は何?」と聞くと、Mは何のためらいもなく、私の名前が書いてあるページを見せてくれた。

そこには「B」と書かれていた。
一瞬の沈黙の後、私は「俺、Bかい?」と聞いた。
するとMは「まぁ、そんなところかな」と、にやけながら言った。
そして、二人で大笑いした。

Mは東京で就職し、数年間働いて故郷の福岡県に帰っていった。
その後、しばらくは年賀状のやり取りをしていたが、いつの間にかそれも途絶えてしまった。

Mは、今頃どうしているのだろうか?
三十年以上経った今でも、あの時のMの顔と車内の様子は今でもよく覚えている。

塾生のみなさんへ 期末テストに向けてがんばろう!

来週から2学期の期末テストが始まります。

益子中・田野中・七井中・市貝中は11月24日・25日に、茂木中は30日と12月1日です。

当塾では現在、自習室を開放しています。
「家よりも自習室の方が集中できる」「先生に質問できる」「みんながんばっているから刺激を受ける」などの理由で、自習室に来てがんばっている塾生もいます。

「家では集中して勉強できない」という人は、積極的に自習室を利用して下さい。
利用したい場合は、必ず連絡して下さい。

また、11月20日(日)に「期末テスト対策学習会」を実施します。
詳しくは、配付した案内を見て下さい。 今年最後の定期テストです。
今までで一番良い順位をとれるように、がんばりましょう!

第30回 『現代用語の基礎知識』

昨日書店に行ったら『現代用語の基礎知識 2023』が平積みになっていた。
そういえば、そんな季節なのだなと思った。

学生時代からしばらくの間、毎年年末になると、『現代用語の基礎知識』、または同じような雑誌を買っていた。
類書としては、集英社の『イミダス』、朝日新聞社の『知恵蔵』があった。
どれも持ち帰り用に専用のビニール袋がついていた。

毎年11月なると、書店にはこの三種類が並んで平積みされる。その風景を見ると「もうすぐ一年が終わるのだな」と思ったものである。
昭和から平成になったばかりの頃だ。

当時、今年は「どれにしようかな」と悩みつつ、買ったものだ。
店先で悩むのも楽しかった。
実は、中身にそれほどの違いはない。
先発の『現代用語の基礎知識』がやや硬派な印象。『イミダス』が少し軟派、『知恵蔵』がその中間といった感じ(あくまでも、個人的な感想です)。

この3冊は、『広辞苑』くらいの分厚さがあって、これらが平積みされている風景は、なかなか圧巻であった。

これらの雑誌の存在はすっかり忘れていた。
ネットで調べてみたら、『イミダス』と『知恵蔵』は2006年11月で廃刊となったようだ。
今の時代、何でもネットで簡単に調べることができる。
『イミダス』と『知恵蔵』の廃刊は時代の流れなのだろう。

そのような中、『現代用語の基礎知識』はスマホが普及した令和になっても、まだがんばっている。これはなかなかすごいことだ。
ただし、ページは以前の半分以下になっている。

「昭和は遠くなりにけり」である。

第29回 「鑑真和上と下野薬師寺」展

10月某日。
栃木県立博物館の企画展「鑑真和上と下野薬師寺」に行ってきた。
一番の目的は「鑑真和上坐像」(御身代わり)にお会いしてくることだった。

鑑真さんは中学校の歴史の教科書にも登場する、とても有名なお坊さん。
日本人なら知らない人はいないと思う。
歴史の教科書には、「鑑真和上坐像」の写真とともに以下の説明がある。

鑑真 688~763
~日本からの依頼に命懸けで応えた僧侶~
唐の僧侶である鑑真は、弟子を日本に派遣しようとしましたが、当時日本への渡航は大変危険であったため、名乗り出る者が誰もおらず、みずからが日本へ渡航することを決意しました。たび重なる渡航の失敗によって失明しても、強い意志を持ち続け、およそ10年かけて、ようやくその願いをかなえました。日本に正式な戒律(修行のきまりごと)を授け、後に唐招提寺を開きました。
(唐招提寺蔵、奈良国立博物館提供)

『社会科 中学生の歴史』(帝国書院)より。

国宝である本物の「鑑真和上像」は、唐招提寺で毎年6月5日~7日の3日間のみ公開されるそうだ。(6月6日が鑑真さんの命日)
そのかわり、平成25年に御身代わり像(身影像)が制作され、こちらは毎日参拝できる。

昔々、高校時代の修学旅行で唐招提寺には行ったが、確かこのときは鑑真和上像には参拝できなかったはず。
そのため、今回が鑑真さんに初めてお目にかかったことになる。
御身代わり像とはいえ、鑑真さんは美しいお姿であった。

「鑑真和上坐像」(御身代わり)以外にも、興味を引く古文書、木簡、仏像などがあり、楽しい一時を過ごすことができた。
読もう、読もうと思って未だに読んでいない、井上靖さんの『天平の甍』(1957年)を今度こそ読もうと思った次第である。

※『天平の甍』……遣唐使(第9次)で大陸に渡った留学僧たち。高僧を招くという使命を受け、後に鑒眞(鑑真)と会う普照と栄叡を軸とした若い留学僧たちの運命を描く。

Wikipediaより

保護者の皆様へ 三者面談会、お世話になりました

11月1日に、今年度第2回目の三者面談会を無事終えることができました。お忙しい中、三者面談会にご出席いただきましてありがとうございました。

三者面談会では、塾生一人ひとりの課題、今後の方針、中3生は志望校・私立高校の受験校などについて話し合いました。たいへん充実した時間を過ごせたかと思います。

何かご相談があればいつでも面談を行います。ご連絡下さい。 今後ともよろしくお願い申し上げます。