第28回  映画「大河への道」

今年5月に公開された、歴史エンターテイメント映画「大河への道」をDVDで見た。

千葉県香取市の市役所職員の池本(中井貴一)が、ひょんなことから大河ドラマ作りに関わることになってしまうというストーリー。
池本が企画した大河ドラマの主人公は、地元の偉人「伊能忠敬」。

舞台は現代(令和)と江戸。
役者さんたちは、現代と江戸の登場人物で一人二役を演じている。

主演は中井貴一さん。
この役者さんは、とぼけた中年を演じさせると最高におもしろい。もちろんシリアスな役もこなせる実力派俳優である。
映画の中では、市役所職員の池本(現代)と江戸時代後期の天文学者・高橋景保(江戸)の二役を演じている。

御存知の通り、伊能忠敬は寛政12年(1800年)から文化13年(1816年)まで、17年をかけて日本全国を測量し、「大日本沿海輿地図」を完成した人物。

忠敬は、50歳で商売(酒造業)を息子に譲り、江戸に出て自分よりも19歳年下の天文学者・高橋至時(高橋景保の父)に弟子入りして、測地や暦法を学ぶ。
そして、量程車という距離を測る道具を使い、実際に全国の沿岸を歩いて測量したのだ。
向学心旺盛で、エネルギッシュな人である。

この映画、もともとは噺家の立川志の輔師匠の新作落語だった。
笑いあり、涙あり、そして原作が落語だけに最後に「落ち」がある。

私も一緒に見た妻も、この映画の評価は「☆4つ」(5個中)である。 是非、いつか志の輔師匠の新作落語「大河の道」も聴いてみたいものだ。

第27回  作家・島田雅彦さんのこと

島田雅彦さんの私小説『君が異端だった頃』(集英社文庫)を読んだ。

少年時代から30歳くらい、「青春の終焉」までをすべてさらけ出している。
おもしろかった。ぐいぐい引き込まれた。
しかし、読み終えてどっと疲れた。

すべて読み終えた感想を一言で言うと、「作家はすごい」というものだ。
自身の不倫、そして妻とのごたごたまで書いている。
これが作家魂というものなのだろう。

島田雅彦さんは、大学在学中の1983年に文芸誌「海燕」デビューし、その後6回芥川賞候補になるも、すべて落選。落選最高記録をお持ちである。

私は学生時代に、島田さんのこの6作品すべてを読んだ。その他、初期の作品はだいたい読んだと思う。
文芸誌「海燕」は「福武書店」(現在のベネッセコーポレーション)が発行していた。
「海燕」は1996年11月号を最後にして廃刊された。

二十年くらい前、持っていた島田さんの本のほとんどをブックオフに売ってしまった。
正直、後悔している。

島田さんの初期作品をネットで探したところ、河出文庫から『島田雅彦 芥川賞落選集』が上・下巻が出ていた。さっそく注文した。
さらに、現在たいへん話題になっている島田さんの政治小説『パンとサーカス』(講談社)も同時に注文した。

『パンとサーカス』はハードカバーで557ページの大作だ。
これからこの作品をじっくりと読むつもり。
しばらくは「島田雅彦ワールド」の住民になりそうだ。

島田さんは次男が通う大学の教授(国際文化学部)である。
次男は法学部に所属しているが、在学時に島田さんの授業を履修するように伝えてある。
「教授・島田雅彦」の話を聞けるのを今から楽しみにしている。

補講を行っています(無料)

尚朋スクールでは積極的に補講を行っています。
塾生本人や保護者の方のご希望、こちらから声をかけさせていただくなど、さまざまなパターンがあります。
受験に向けて、期末テストに向けて、しっかりとサポートしてゆきたいと思います。
ご意見・ご要望があればご連絡下さい。

◆9月下旬~10月中旬までの期間に、以下の補講を行いました。
(欠席者に対する振替授業などは除きます。)

  • 中1数学 中間テストの復習
  • 中1英語 三・単・現の復習
  • 中1社会 学習方法指導
  • 中2理科 中間テストの復習
  • 中2国語 学習方法・辞書の使い方指導
  • 中2社会 学習方法指導
  • 中3数学 中間テストの復習
  • 中3数学 下野模試の大問5と6の復習
  • 中3社会 古代史の総復習

第26回 プロ野球ドラフト会議が楽しみ

今年のプロ野球ドラフト会議は10月20日(木)だ。

今年のプロ野球ドラフト会議は10月20日(木)だ。
気のせいか、ドラフト会議は毎年木曜日にあるような気がする。

自分の人生とはまったく関係ないのに、なぜわくわくするのだろう。
新たなヒーローの誕生、そこに立ち会える喜び、そんな理由からだろうか。

今年は栃木で国体が開催されており、高校野球(硬式)の試合が宇都宮清原球場で行われた。
甲子園常連校の試合を地元で観戦できる、こんなチャンスはめったにない。
そう思い、私は10月3日(月)と5日(水)のチケットを手に入れた。
結局、3日の試合だけ観戦した。
5日は悪天候のため、行くのをとりやめたのだ。

3日の試合は、「国学院栃木―聖光学院」と「下関国際―大阪桐蔭」の二試合だった。
高校生とは思えないほどのすばらしいプレーが眼の前で繰り広げられた。これは一生の宝である。
この選手たちの中から何人かが今年のドラフト会議で指名されるのだ。
そう思うと、とてもわくわくする。

プロ野球のスカウトたちをテーマにしたマンガがある。
クロマツテツロウさんの『DRAFT KING』(集英社)だ。

このマンガは、スカウトたちのプロの仕事ぶりを知ることができて興味深い。
そして、野球に対しての愛を感じる。
ユーモアもあり、絵もきれいでとても読みやすい野球マンガだ。
クロマツさんの『野球部に花束を』(秋田書店)も名作である。

『DRAFT KING』、第1巻は2019年8月に発行された。
今から3年ほど前だ。
私は、その時に第1巻を買って読み、新刊が発売されるたびに読み進めてきた。
5巻まで読んだのだが、その後、その存在をすっかり忘れていた。


しかし先日、書店でたまたま12巻を見つけた。
気づかないうちに、話は12巻まで進んでいたようだ。 今、第1巻から読み返している。
是非、今年のドラフト会議の日までに12巻まで読み進めたいと思っている。

第25回  義父のお葬式

9月26日に、末期がんのため義父が亡くなった。享年87歳だった。

ここ数年、入退院を繰り返していた。
義父が亡くなる10日ほど前に、私は妻や子供たちと共に退院して一時帰宅していた義父を見舞いに行った。
そして、その日が義父と話した最後の日となってしまった。

義父はベッドに横たわり、すっかりと痩せ細ってしまっていたが、一生懸命に話そうとしてくれた。
かすれ声であったが、いつものユーモアある発言に、つい何度も笑ってしまった。
義父は、最後まで明るく、前向きに生きようとしていた。

29日に告別式があったが、とても温かいものだった。
葬儀委員長のあいさつも、喪主の義兄のあいさつもどちらも心がこもっていて、つい涙ぐんでしまった。
義父が周りから愛されていたことが伝わってきた。

祭壇に飾られた遺影は、2年ほど前に長男が撮影したものだ。
私の長男は、高校、大学、大学院時代の9年間写真部だった。
義父は、病状が悪化する前に、孫である長男に遺影の撮影をお願いしていたのだ。

故人を偲ぶメモリアルコーナーには、義父の子供時代の一族の集合写真(義父は紺絣を着ていた)、若かった頃、働き盛りの頃、炬燵にあたりながら孫(私にとっての姪)を抱いている写真などがあった。


「百姓」ということに誇りを持ち、義母と二人で菊作りに精を出し、4人の子供を育てあげた義父。
その義父が、義母と二人で菊畑で働いている写真を見ると、つい涙が出てきてしまった。

私は、義父と政治の話をするのが楽しかった。
もう話す機会がないと思うと、とても寂しい。

告別式当日は、浅間山をはじめとした高い山々の上空に鱗雲が広がっていた。
そして、どこかから金木犀の香りが漂ってきた。
そんな秋らしい日に、義父は天国へ旅立ったのである。
                                      合掌

第24回 鈴木忠平著『虚空の人』(文藝春秋)

鈴木忠平著『虚空の人 ~清原和博を巡る旅』(文藝春秋)を読んだ。
これは、元プロ野球選手であった清原和博を4年間にわたって取材し書かれた本である。

私は今年の1月に、鈴木さんの前著『嫌われた監督 ~落合博満は中日をどう変えたか~』(文藝春秋)をたいへん興味深く読んでいたので、今回も楽しみにページを繰った。

高校野球のヒーロー、プロ野球でも活躍した清原和博は、現役時代から素行の悪さでも有名であった。
引退後、タレントとして活動していたが、素行の悪さはエスカレートし、ついに、覚醒剤に手を出してしまう。
そして、2016年に逮捕された。
この本は、逮捕後の2017年初夏から約4年間にわたっての記録である。

清原本人だけでなく、彼に関わった人々を取材することで、人間・清原和博がくっきりと浮かび上がってくる。
裏表のない明るさ、無邪気さ、繊細さ、未熟さを持った人間。
良く言えば「ピュア」、悪くいえば「精神的に未熟」ということだろう。

「KKコンビ」の桑田真澄との関係、桑田への複雑な思い、そしてドラフトの裏側なども書かれていてたいへん興味深かった。

2020年6月に、清原和博の執行猶予期間は満了した。
しかし、今も日々、心身の闘いは続いているという。

『虚空の人』は期待を裏切らない作品であった。


※読みやすさを考慮して、本文中、清原和博と桑田真澄両氏の敬称を略した。

第23回 歴史学者・清水克行さんのコラム

統一教会と自民党、統一教会と安倍晋三元首相の深い関係が明るみになってから、「週刊文春」を買って読むことが増えた。
雑誌なので、注目の記事以外もぱらぱらとページをめくって読む。
その中に、とても興味深い連載コラムがあった。

歴史学者・清水克行さん(明治大学商学部教授・日本中世史)の「室町ワンダーランド」だ。
私が読んだ数回分のコラムでは、清水さん自身のこれまで、歴史に興味を持った子供時代、大学時代などのことが書かれていた。

私自身、大学時代は文学部史学科に所属していて、清水さんと同じ時期に学生時代を過ごしていたので、清水さんのコラムはとても懐かしい感じがする。

9月1日号、第17回の「室町ワンダーランド」は、『先生との出会い』というタイトルで、清水さんとその師である藤木久志さんのことが書かれていた。
とても心温まる文章であったが、その中に、以下の一文があった。

歴史学界では、研究者の名前を呼ぶとき、「~先生」とは呼ばずに、どんな偉い先生であっても必ず公の場では「~さん」と呼ぶ習慣がある。

そして、清水さんは、「研究者は互いに対等」という考えに基づいてそのような習慣になったと書いている。

確かに、史学科に所属する学生や大学院生は、研究者の名前を呼ぶとき「~さん」と言っていた。
先輩方がそう呼んでいるから、私もなんの疑問も持たずに同じようにしていたが、そのような深い理由があったとは。
大学を卒業して30年くらい経つが、この理由を知ってちょっと感動してしまった。

ちなみに、農学部出身の妻に聞いたところ、歴史学界のような習慣はないそうである。

第22回 本郷和人著『歴史学者という病』

歴史学者の本郷和人さん(東京大学史料編纂所教授)の本は、けっこう読んでいる。
その本郷さんが、『歴史学者という病』(講談社現代新書)で、歴史学者のこと、歴史学界のこと、自分のこと包み隠さず書いている。

本郷さん自身のこともさらけ出していて、第一章の「『無用者』にあこがれて」と第二章の「『大きな歴史』との決別」に関しては、さながら私小説のようであっておもしろい。

師との関係、歴史学界の問題点や歴史学の課題など、本当に「こんなにはっきりと書いていいのか」と思うくらいだ。
「ぜんぶ、言っちゃうね」「歴史学は奥も闇も深い」という帯のキャッチコピー通りである。

ただし、これは怨念の詰まった暴露本などではない。
読んでいて痛快な本である。
マンガでいえば、島本和彦さんの『アオイホノオ』(小学館)のような感じ。

還暦を過ぎても常にエネルギッシュな本郷さんの益々のご活躍をお祈り申し上げます。

2学期生募集中!(中3クラスは締め切りました)

尚朋スクールでは2学期生を募集します。
当塾では、小手先のテクニックではない、「物事の本質を見抜く力」を養い、「受験で終わらない学力」を身につけさせたいと考えております。


2学期を充実したものにするためにも、2学期が始まったこの機会にご入塾下さい。

無料の体験入塾も行っています。
お気軽にお問い合わせ下さい。

なお、本年度の「中3クラス」は締め切りました。

充実した夏休みでした

8月29日に、8月のすべての授業が終了しました。


中学3年生の夏期講習会では13日間で5教科・約40時間の授業を行いました。
3年生たちは最後まで疲れを見せずに学習に取り組んでくれました。
最終日に行ったアンケートでは、全員が「夏期講習会はたいへん役に立った」と回答してくれました。

小学6年生と中学1・2年生は、1学期の復習と2学期の予習を中心に行いました。
中学1・2年生は読解力を養成するため、入試レベルの国語の文章題にもチャレンジしてもらいました。
また、9月に中間テストがあることを想定し、1学期終盤に行った学習内容の定着を図りました。

全学年において中身の濃い学習ができたと思います。
たいへん充実した夏休みになりました。

益子中・田野中・七井中は9月に中間テストがあります。
これまでと違ったスケジュールですが、塾生たちにはしっかりと準備をした上で、試験に臨んで欲しいと思います。

当塾では、9月11日(日)に中間テスト対策学習会を実施します。
詳しくは別紙の案内を御覧下さい。 2学期もよろしくお願い致します。