第22回 本郷和人著『歴史学者という病』

歴史学者の本郷和人さん(東京大学史料編纂所教授)の本は、けっこう読んでいる。
その本郷さんが、『歴史学者という病』(講談社現代新書)で、歴史学者のこと、歴史学界のこと、自分のこと包み隠さず書いている。

本郷さん自身のこともさらけ出していて、第一章の「『無用者』にあこがれて」と第二章の「『大きな歴史』との決別」に関しては、さながら私小説のようであっておもしろい。

師との関係、歴史学界の問題点や歴史学の課題など、本当に「こんなにはっきりと書いていいのか」と思うくらいだ。
「ぜんぶ、言っちゃうね」「歴史学は奥も闇も深い」という帯のキャッチコピー通りである。

ただし、これは怨念の詰まった暴露本などではない。
読んでいて痛快な本である。
マンガでいえば、島本和彦さんの『アオイホノオ』(小学館)のような感じ。

還暦を過ぎても常にエネルギッシュな本郷さんの益々のご活躍をお祈り申し上げます。

2学期生募集中!(中3クラスは締め切りました)

尚朋スクールでは2学期生を募集します。
当塾では、小手先のテクニックではない、「物事の本質を見抜く力」を養い、「受験で終わらない学力」を身につけさせたいと考えております。


2学期を充実したものにするためにも、2学期が始まったこの機会にご入塾下さい。

無料の体験入塾も行っています。
お気軽にお問い合わせ下さい。

なお、本年度の「中3クラス」は締め切りました。

充実した夏休みでした

8月29日に、8月のすべての授業が終了しました。


中学3年生の夏期講習会では13日間で5教科・約40時間の授業を行いました。
3年生たちは最後まで疲れを見せずに学習に取り組んでくれました。
最終日に行ったアンケートでは、全員が「夏期講習会はたいへん役に立った」と回答してくれました。

小学6年生と中学1・2年生は、1学期の復習と2学期の予習を中心に行いました。
中学1・2年生は読解力を養成するため、入試レベルの国語の文章題にもチャレンジしてもらいました。
また、9月に中間テストがあることを想定し、1学期終盤に行った学習内容の定着を図りました。

全学年において中身の濃い学習ができたと思います。
たいへん充実した夏休みになりました。

益子中・田野中・七井中は9月に中間テストがあります。
これまでと違ったスケジュールですが、塾生たちにはしっかりと準備をした上で、試験に臨んで欲しいと思います。

当塾では、9月11日(日)に中間テスト対策学習会を実施します。
詳しくは別紙の案内を御覧下さい。 2学期もよろしくお願い致します。

第21回  戦後77年目の終戦日

今日は戦後77年目の終戦日である。
テレビやラジオでは、アジア・太平洋戦争についての特集番組が放送されている。
私は、そのいくつかの番組を見たり聞いたりしている。

戦争を経験された方々が少なくなっている。
戦争の実態を知り、それを次の世代に伝えてゆくことはとても大切なことだ。

文藝春秋は、創立100年と雑誌「文藝春秋」創刊100年の企画として、同社から刊行されている名著3作品を漫画化している。
その原作の3作品は、辺見じゅん著『ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉』、半藤一利著『日本のいちばん長い日』、山崎豊子著『大地の子』である。
漫画版の『ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉』は1冊、『日本のいちばん長い日』が上・下2冊、『大地の子』は全5冊だ。

とりあえず、漫画版の『日本のいちばん長い日』上・下と『ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉』を読んでみた。
以下、『日本のいちばん長い日』の上巻と『ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉』の帯である。

  • 『日本のいちばん長い日』

敗戦濃厚な昭和20年夏。ポツダム宣言を巡り、内閣の意見は割れていた。無条件降伏を主張する海軍、外務省に対し、陸軍、参謀本部は「国体護持の保証がない限り徹底抗戦」と譲らない。原爆投下、ソ連参戦と追い詰められるなか、ついに昭和天皇の聖断を仰ぐことに―。

  • 『ラーゲリ〈収容所から来た遺書〉』

1957年 敗戦から12年後に遺族が手にした6通の遺書。

シベリア抑留中に死んだ元一等兵、山本幡男が書き残した遺書は、彼を慕う仲間たちによる驚嘆すべき方法を使って、厳しいソ連監視網をかい潜り、日本へと持ち帰られた。

悪名高き強制収容所(ラーゲリ)に打ち勝った男たちの、勇気と知性の物語。

どちらも、学ぶこと、考えさせられることの多い作品だった。

今、ロシアがウクライナに侵攻して、毎日たくさんの人々が亡くなっている。
戦争をしても、誰も幸せにはならない。多くの人々の死があるのみだ。
日本は77年間、一度も戦争をしていない。とてもすばらしいことなのだが、ここ十数年の様子を見ていると、この先は分からない。

二度と戦争を繰り返さないためにも、私たちは、日本の愚かで悲惨な戦争を知り、次の世代に伝えていくべきだ。
それと同時に、私たち一人ひとりが賢くなる必要があると思う。

第20回 中村選手、おめでとうございます!

昨日の楽天戦で、埼玉西武ライオンズの中村剛也選手(38)が通算450号本塁打を達成した。
これはプロ野球史上14人目だそうである。
しかも、この450号は通算1000得点でもあって、本当にすごいと思う。
中村選手は、やはり「持ってる」選手だ。

仕事を終えて、帰宅してからネットでその瞬間を確認した。

1ボール2ストライクからの4球目をレフトスタンド中段に叩き込んだ。
450号も、中村選手らしい高々と放物線を描くきれいなホームランだった。

相手バッテリーは元ライオンズの岸投手と炭谷捕手というのもなかなかおもしろい。
2つの記録を同時に達成したということで、中村選手は用意されていたお祝いの2つのボードを順番に掲げたが、こんなシーンはとても珍しいと思う。

中村選手、本当におめでとうございます!
次は目標の500号です。
また、一本一本積み上げていって下さい。応援しています。

お問い合わせフォーム使用再開のお知らせ

8月5日頃より発生しておりましたメールシステムの不具合は、復旧しました。
そのため、利用停止しておりましたお問い合わせフォームの使用を再開します。

ご不便をおかけし、申し訳ございませんでした。
今後は、従来どおりお電話またはお問い合わせフォームにてお問い合わせを承ります。

【重要】しばらくの間、お問い合わせはお電話でお願い致します

8月5日、当塾のメールシステムにトラブルが発生しています。
そのため、現在「お問い合わせフォーム」より頂いたメールを確認することができません。

復旧するまでの間、お問い合わせはお電話でお願い致します。

ご不便をおかけしますが、よろしくお願い致します。

第19回  浦沢直樹著『20世紀少年』(ビッグコミックス)

私にとって、今一番の関心事は「統一教会と自民党議員の関係」である。
連日、次から次へと新しい事実が発覚して、驚いたり、憤ったりしている。
長年にわたってカルト宗教が日本の政治に強い影響力を持っていたのかと思うと、本当にぞっとする。

今回のことに関して、がんばっている新聞やテレビ局がある。
その一方で、まったく報道しない、ほとんど報道しない新聞やテレビ局もある。
後者のニュースにしか接していない人は、別な世界に生きているようなものだと思う。
われわれ国民は、この現実を理解した上で、世界や日本で起きていることを判断すべきである。

現代はネットが普及していて本当に良かったと思う。

がんばっている報道機関を応援したい。
そして、日本をまともな国に戻すように、さらにがんばって欲しい。

今回のことで、ずいぶん前に読んだマンガを思い出した。
浦沢直樹さんの「20世紀少年」(1999~2006年)である。

作中、カリスマ性のある「ともだち」というカルト宗教の教祖が出てきて、世界の滅亡を企てる。
そして、「友民党」という政党を作って、政治の世界にも介入し、国を動かし始めるのだ。
多くの国民も「ともだち」に洗脳されてしまう。

このマンガの詳しい内容は忘れてしまったが、「ともだち」や「友民党」、「ともだち」に洗脳されてしまった政治家や国民に薄気味悪さを感じたものだ。
まさか、現実にこのマンガと似たようなことが日本で起こるなんて。本当に信じられない。
驚きと強い憤りを感じる。

「統一教会と自民党議員の関係」をすべて明らかにし、関係していた議員は反省し、きっぱりと手を切ってほしい。
日本の政治が正常になることを願っている。 そのためにも、がんばっているジャーナリスト、弁護士、政治家や報道機関を応援したいと思う。

暑中お見舞い申し上げます

暑い日が続いています。
8月は、中学3年生は夏期講習会を行います。
そして、小学6年生~中学2年生は、通常授業内で1学期の復習と2学期の予習を中心に授業を進めます。中学2年生は前学年の復習も含みます。

中学3年生の夏期講習会は、5教科全40コマの授業となります。
かなりのボリュームで大変なのですが、夏期講習会を終える頃には、みんな「立派な受験生」に変身しています。
今年も充実した夏期講習会にしたいと思います。

新型コロナウイルスの感染が拡大していますが、しっかりと感染対策をしつつ、「力をつける夏休み」「さらに飛躍する夏休み」にしてゆきたいと思います。
8月も、よろしくお願い申し上げます。

厳しい暑さが続いています。くれぐれもご自愛下さい。

第18回 粥川すず著『エリートは學び足りない』(モーニングKC)

マンガ、粥川すず著『エリートは學び足りない』(モーニングKC)を読んだ。

舞台は大正時代の旧制高校である。
野生児の大石君は親友が欲しかった。そして、新入生入寮の日に、文芸新人賞を受賞してすでに有名だった梅原君を親友と決め、「親友になってくれ」と猪突猛進で攻めまくる。
『エリートは學び足りない』は、この二人を軸に物語は進む「旧制高校友情コメディー」である。

旧制高校は、明治から昭和前期に日本にあった高等教育機関である。
現在の高校と違って、「四年制大学の教養部」といった位置づけであった。
入学枠は非常に少ない。全寮制の男子のみの超エリート教育機関だ。
旧制高校はどんどん増えていって、一番多い時で約40校存在した。
そのなかでも「ナンバースクール」という第一高等学校から第八高等学校はさらに「狹き門」であった。

時期にもよるが、学科を選ばなければ、旧制高校の卒業生は帝国大学(東京、京都、東北、九州、北海道、京城、台北、大阪、名古屋)に入学できたそうである。
戦後、日本の植民地であった京城(現在の韓国のソウル)、台北(台湾)は廃止され、残りの7校が新制大学、いわゆる受験界での「旧帝」になった。
旧制高校に入学することは、現在の難関大学に入学するよりもはるかに難しかったと思う。

学帽にマント、下駄に手拭い、バンカラな学生たちが、寮生活の中で、酒を飲み、煙草を吸い、文学書や哲学書を読み、人生を語る、旧制高校にはそんなイメージがある。

昔々、文学部史学科の学生だった私は、「明治期の師範学校」をテーマにして卒業論文を書いた。その流れで旧制高校についても調べてみた。
そんなわけで、このマンガはとても興味深く読むことができた。

第2巻の発売は今年の12月頃だそうだ。
今からとても楽しみである。