第174回 川口則弘著『文芸記者がいた!』

川口則弘著『文芸記者がいた!』(本の雑誌社)を読む。

この本は、普段は注目されない「文芸記者」について書かれている。
この点がとてもユニークだ。

明治から平成までの文芸記者が23人、それに加えて現代の文芸記者たちも紹介されている。

紙の新聞や雑誌は厳しい状況だが、ぜひ、各紙・各誌の文芸欄、文芸記者にはがんばってほしいと思う。

巻末の「文芸記者年表」は貴重な資料だ。

七井中生・真岡東中生のテスト対策学習会

七井中生と真岡東中生は、6月1日(日)に「テスト対策学習会」を行います。
また、5月26日からテスト前日まで自習室を開放します。
詳しくは、5月23日と26日に配付するプリントをご覧下さい。
塾生のみなさん、がんばりましょう!

※益子中生・田野中生の「テスト対策学習会」は、6月15日(日)に行う予定です。
詳しくは、後日お知らせ致します。

第173回 河野啓著『ヤンキー母校に恥じる』

河野啓著『ヤンキー母校に恥じる』(三五館シンシャ)を読む。

この本は、義家弘介氏をめぐるドキュメンタリー作品だ。

著者は、北海道放送で「ヤンキー母校に帰る」などのドキュメンタリー番組を作り、義家弘介氏をスターにした。

義家氏は、母校の教師を辞め、国会議員になる(2024年、衆院選で落選し、政界引退)。

著者は、自分が義家氏をスターにしてしまったことを後悔し、この本を書き上げたそうだ。

本書では、国会議員になる前を「ヨシイエ」、国会議員になってからを「義家氏」と区別する。

数多くの取材対象から分かるのは、義家氏は、すぐにキレ、嘘つきで、平気で他人を傷つけ、裏切る人物だ。
関わる人たちを悲しくさせる。
当然、関係は長くは続かず、彼の周りから人は遠ざかってゆく。

それでも、教員時代のヨシイエ氏には、まだ魅力があったかもしれない。
しかし、国会議員になって、変節し、どんどんと人相が悪くなっていった。

元タレントや元スポーツ選手が、知名度を利用され、政治家になり、顔つきがどんどん悪くなる有名人が多い。
義家氏はその典型だと思う。

とてもおもしろかったが、もやもやするものが残る本だった。

第172回 『金子兜太戦後俳句日記 第1巻』

『金子兜太戦後俳句日記 第1巻』(白水社)を読む。

俳人の金子兜太(1919~2018)は、俳壇の枠をこえて活躍した人。
豪快で、愛嬌があって、見ていておもしろい俳人だった。

戦争中は戦地(トラック島)に送られ、地獄を経験したという。
その経験から、生涯、反戦の思いは強かった。

『金子兜太戦後俳句日記 第1巻』は、1957年から1976年、兜太37歳から56歳までの日記である。

日記では、兜太が、実はとても繊細な面を持っていたということが分かる。
また、当時の俳壇の人間関係や組織の複雑さが書かれていて興味深かった。

『金子兜太戦後俳句日記 第1巻』は450ページで9,900円。
かなりの値段だが、それだけの価値はある。

通っている図書館には第2巻もあったが、しばらく間をおいてから借りようと思う。

彎曲し火傷し爆心地のマラソン  金子兜太

第171回 新聞の魅力

以下は下野新聞(2025年4月17日)に掲載された拙文です。

ネット時代の今 新聞の魅力実感

新聞を読む人が減っている。若い世代だけでなく、子育て世代も読んでいない人が増えている。交流サイト(SNS)全盛の現代、「ニュースはネットやSNSで十分」と考える人が増えているのだろう。そんな時代だが、私は新聞が好きで、下野新聞を含めて二つの紙の新聞を購読している。図書館へ行って、購読紙以外の新聞をチェックすることもある。

ネット時代の現在、速報性という点では新聞はネットにかなわない。しかし、新聞には「記事の信頼性」がある。「見出し」を眺めるだけでも勉強になる。同じニュースを新聞各社がどのように扱っているかを見比べるのもおもしろい。文化面や生活面を読めば教養も身に付く。

12日まで「春の新聞週間」だった。多くの人に新聞の魅力を知ってもらい、新聞を手にとってほしい。

第170回 作家の自筆原稿

以下は下野新聞(2025年5月9日)に掲載された拙文です。

作家の自筆原稿自体が芸術作品

4月11日付本紙に、夏目漱石の自筆原稿が発見されたという記事があった。とても興味深い内容だった。私は作家の自筆原稿を見るのが好きで、文学館や作家の企画展に行くことが多い。

文学館や企画展では、ガラス越しとはいえ、明治や大正、昭和の作家の自筆原稿から

執筆に対しての熱い思いを受け取ることができる。一番印象に残っている自筆原稿は、村上春樹さんのデビュー作『風の歌を聴け』だ。1990年に、東京池袋の東武百貨店で開催された「昭和の文学展」で見た。原稿用紙に万年筆できちょうめんで整った文字で書かれていて、今でも脳裏に焼きついている。

作家の自筆原稿は、それ自体が芸術作品だ。現代の作家さんは「手書き派」は少数だそうだ。自筆原稿を見る楽しみがなくなってしまうのは残念だが、それも時代の流れなのだろう。

第169回 今村翔吾著『教養としての歴史小説』

今村翔吾著『教養としての歴史小説』(ダイヤモンド社)を読む。

著者は歴史小説家の今村翔吾さん。
今村さんは、小学5年生の時に池波正太郎の『真田太平記』を読み、それ以降、歴史小説・時代小説を読み漁ったという。
歴史小説・時代小説の読書量は、現役作家の誰にも負けないというようなことを書かれていた。

歴史小説・時代小説の魅力、歴史、作家論など、たっぷりと楽しめる一冊だ。
歴史小説・時代小説好きの私としては、たいへんありがたい本だった。

この本を手がかりに、未読の作者の本も読んでみたいと思う。

第168回 野﨑まど著『小説』

野﨑まど著『小説』(講談社)を読む。

この小説は、今年の本屋大賞の3位になった作品。

主人公の内海集司は子供の頃から本が好きで、ひたすら本を読む。
友達は一人もいなかった。
そんな少年だったが、小学六年生のときに、外崎という少年と友達になる。
外崎は、内海集司の影響で、本の世界にのめり込んでゆく。
その後、彼らは小学校の近くに住む作家の「髭先生」と知り合い、交流を深めてゆく。

物語の途中までは本当におもしろかった。
その後ファンタジー色が強くなって、正直なところ、ついていけなくなった。

個人的には、途中までの雰囲気で結末までいってほしかったと思う。

「小説を読む」ということを突き詰めた小説。
いろいろと考えさせられる小説ではあった。

第167回 3年がたちました

ブログ「塾長の気まぐれ日記」を始めて3年がたちました。

当ブログの第1回目は2022年5月2日です。
当塾のホームページをリニューアルしたのを機に、ブログを始めました。

3年間で167本書きました。

内容は、読んだ本の感想、観た映画やドラマの感想、新聞に掲載された拙文、野球観戦記が多いです。

ときどき、「読んでいます」とか「おもしろいです」などと感想をいただくことがあります。
励みになります。
本当にありがとうございます。

当ブログの感想は、当塾の「お問い合わせフォーム」かLINEなどでお送り下さい。

今後とも、よろしくお願い申し上げます。

みなさま、すばらしいゴールデンウィークをお過ごし下さい!