ノートの記名はお子さん自身に書かせて下さい

 長年、たくさんの子どもたちと接していて思うことがあります。そのうちの一つが、「うまくなくてもいいから、ノートの名前や教科名はお子さん自身に書かせてほしい」ということです。
 小学3年生くらいからは自分で書かせたほうがいいです。

 もちろん、上手に書けなかったり、失敗したりもします。中学1年生になって、「数学」と書くべきところを「算数」と書いてしまい、修正テープを貼り、その上に「数学」と書き直している、そんな子がいます。真新しいノートにマジックで格好良く書くはずが、失敗してしまい、何とかしようと格闘した姿が目に浮かびます。このようなノートを見ると微笑ましくなります。そして、「この子は大丈夫だ」と思うのです。不思議なことに、このような子のほとんどは、ちゃんと成績が伸びますし、たくましく育つのです。

 詳しい理由はわかりません。ですが、おそらく、「ノートの名前を書く」という小さなことも自分でやる習慣がついている子は、成長とともに、何事も「自分ごと」と捉えるようになるからなのではないかと思っています。
「名前を書くのを失敗した→自分で工夫して書き直した」、このようなことが大切なのです。

 子育てにおいて重要なことは、小さいうちから「子どもに小さな失敗をたくさんさせること」です。「失敗させたくないから」と思って、何でも親が先回りしてやってしまうと、かえって本人のためになりません。子どもの成長を止めたり、遅くさせたりしてしまうのです。

失敗は成長するチャンスです。

 是非、ノートの名前や教科名は、お子さん自身に書かせるようにして下さい。そして、小学校の低学年に弟さんや妹さんがいる方は、いまのうちから本人に書かせるようにしてあげてほしいなと思います。

子どもの成長を信じて待つ

「子どもの成長を信じて待つ」ことは、簡単なようで意外と難しいものです。

テストの結果を見て怒り過ぎてしまったり、他の子と比較して不足している点が気になり、そのことを本人に言ってしまったり。しかし、親が子どもの目先の結果ばかり見て、あれこれと言い過ぎていると、子どもの自主性、やる気が失われてしまい、少しも良いことはありません。幼少期から親にあれこれと干渉され過ぎて育てられた結果、自分では何も考えない、無気力な子どもになってしまう場合もあります。

子どもたちには、努力していても結果が出ない時期があります。保護者の皆様には、是非、その努力にも目を向けていただきたいと思います。そして、結果が出ない時期も、子どもの成長を信じて待ってほしいのです。親に信じてもらっている子どもは、安心して事に当たり、失敗も成功もしっかりと経験して、非常に力強く育ってゆきます。このような塾生、卒業生をたくさん見てきました。もちろん、努力せず、特別な理由もないのに怠けてばかりいることは見逃さず、ちゃんと叱ることも大切です。ただし、心の問題(悩み)を抱えている場合もあるので注意が必要です。

是非、子どもの成長を信じて待ってあげて下さい。

※「自主性を尊重する」と「放任」は違います。このことは次の機会に書きたいと思います。