第160回 オープン戦観戦記

今更ながらオープン戦観戦記。

3月11日、ベルーナドーム(埼玉県所沢市)でのオープン戦「西武対阪神」を観戦した。
平日のオープン戦ということもあって観客は少なく、とても快適だった。
観客数は9500人だったようだ。

投手戦の締まった試合だった。
7回裏、西武が1点をとった時だけ球場は盛り上がった。
しかし、この時、私はクレープ屋さんの前に並んでいたのだ。
しかも、店員さんに注文を忘れられていて、4~5人に順番を抜かされてしまった。
やっとクレープを手にしたと思ったら、注文したものとは違うもの。
私にはこのようなことが本当に多いのである。

そのようなわけで、得点シーンを見ることができなかった。

西武は5人の投手の継投で、あわやノーヒットノーランでの勝利かと期待した。
けれど、9回に阪神の前川右京選手の内野安打で逃してしまう。
「さすが西口監督、監督になってもそうなのね」と笑ってしまった。

今シーズン初めての生観戦は、1-0で西武の勝利。
「今年のチームは去年と違う」という感想だった。

3月28日から公式戦が始まった。
最初のカードは日ハムに3連敗。
なかなか厳しいスタートだが、シーズンは始まったばかりだ。
諦めずに埼玉西武ライオンズを応援してゆきたいと思う。

第159回 永井紗耶子著『秘仏の扉』

永井紗耶子著『秘仏の扉』(文藝春秋)を読む。

明治新政府は、神道国教化の方針のもと、1868年に神仏分離令を出した。
それまで当たり前であった神仏習合を禁止し、神道と仏教、神社と寺院を明確に切り離したのだ。
これを機に、廃仏運動が激化し、全国の寺院や仏像の破壊が広がってしまう。

このような中、日本の仏教や仏教美術のすばらしさを伝えた男たちがいた。
写真家の小川一眞、官僚の九鬼隆一、法隆寺の千早定朝、東洋美術史家のフェノロサ、思想家の岡倉天心、官僚で後に僧侶となる町田久成である。

この6人の物語が『秘仏の扉』だ。

この小説は6章からなるが、各章で一人の人物を扱っている。
同時期の出来事をそれぞれの視点で描いているところがおもしろかった。

彼らがいなかったら、寺院や仏像などの日本美術は消えてなくなっていたかもしれない。
彼らのやった仕事は非常に偉大だった。

この中には、家庭人として問題ある人物も複数いるのだが。

寺社仏閣好き、仏像好きの私としては、『秘仏の扉』は最高の小説だった。

第158回 大学生が注意すべきこと

以下は下野新聞(2025年3月25日)に掲載された拙文です。

危険に近づかず学生生活満喫を

先日、大学時代の恩師の最終講義があった。すっかりきれいになっていたキャンパスで行われた最終講義には、約100名の教え子が集まった。先生の集大成ともいえる講義を、私はとても懐かしい気持ちで聴講した。懇親会では、恩師や同級生、歳の離れた後輩たちと思い出話で盛り上がった。

大学の4年間は、学ぶにしても、遊ぶにしても、何でも自由にできる時期だ。大学生には学生生活を大いに満喫してほしい。その際、気をつけなければならないことがある。キャンパス内外には、大学生を狙ったカルト宗教やマルチ商法の団体が存在するのだ。また、闇バイトに手を染めてしまうと犯罪者になってしまうのだ。

学生たちには、これらの危険な団体や行動などには近づかず、巻き込まれずに、健全で充実した学生生活を送ってほしいと思う。

第157回 村山由佳著『PRIZE』

村山由佳著『PRIZE』(文藝春秋)を読む。

売れっ子作家である天羽カインは、全国の書店員が選ぶ「本屋大賞」は受賞したものの、その他の文学賞とは縁が無い。
中堅作家である彼女は、日本の最高峰である直木賞の候補には何度もあがっていたが、いつも落選する。

自分の作品は選考委員たちの作品よりもずっと売れているのに、なぜ賞をくれないのか?
自分の作品のどこに問題があるのか?
選考委員は自分に嫉妬しているのではないか?
天羽カインは悩み、怒り狂う。

天羽カインは直木賞への執着を隠すことなく、受賞に向けて、編集者の緒沢千紘と二人三脚で作品を作り上げてゆく。

文壇や直木賞、出版社の裏事情などがたくさん描かれていて、読書好きにはたまらない。
作家は己を曝け出すものであるが、「村山さん、ここまでやるか」と思うような作品だった。
そして、意外な結末。

最後まで一気に読んでしまった。
村山由佳は、令和の無頼派作家なのかもしれない。

第156回 今年最初のプロ野球観戦

今年最初のプロ野球観戦のため、埼玉西武ライオンズの本拠地ベルーナドームへ行ってきた。

最近は背番号なしのレプリカユニフォームを着ていたが、今回は思うところあって〈背番号55〉の秋山翔吾選手のもので観戦した。

秋山選手は現在、セ・リーグの広島東洋カープでプレーしている。
秋山選手がカープに移籍してからは〈背番号55〉は封印していた。
こんな日が来るなんて。

「思うところ」は秘密です。

観戦記は後日書きたいと思っています。

第155回 朝井まかて著『秘密の花園』

朝井まかて著『秘密の花園』(日本経済新聞出版)を読む。

『秘密の花園』は『南総里見八犬伝』の作者である曲亭馬琴(滝沢馬琴)が主人公の小説。

馬琴が苦労人というのは有名な話だ。
彼の妻は感情の抑制が難しく、しょっちゅう爆発的に怒ったりしていた。また、心の通じ合っていた長男は自分より先に他界してしまう。
馬琴自身が73歳で失明すると、長男の妻が口述筆記をすることで彼を助ける。
妻はそのことが気に入らず、不機嫌がさらに激しくなる。

版元とのトラブル、長男の死、自身の失明など、たくさんの苦難を乗り越え、約28年かけて『南総里見八犬伝』を完成させる。

そんな馬琴が主人公のため、『秘密の花園』はとても重苦しい作品だった。
そのせいか、読了するまで少し時間がかかってしまった。

ハードカバーで466ページある『秘密の花園』は、重厚感のある作品だった。

第154回 ジェンダー平等の社会を

以下は下野新聞(2025年2月20日)に掲載された拙文です。

家制度の価値観アップデートを

下野新聞社が全国の地方紙や専門紙と合同調査をした結果、回答者の約7%がジェンダーバイアス(性別に基づく固定観念)を理由に地元を離れた経験があり、そのうちの約8割が女性だったそうだ。本紙は「家父長制のような価値観や性別役割分担意識」が女性の人生選択に影響していると分析していた。

日本の家父長制は明治時代に「家制度」として制定された。この価値観は戦後も根強く生き残り、女性や立場の弱い人たちを苦しめてきた。最近は「ジェンダー平等」が叫ばれているが、地方では価値観の見直しが進まず、生きにくさを感じている女性は多い。

今、私たちに求められているものは「家父長制」という古い価値観を見直し、ジェンダー平等の社会を作り上げることだ。そのためには価値観のアップデートが必要だと、昭和生まれの私は自戒を込めて思っている。

第153回 白蔵盈太著『一遍踊って死んでみな』

白蔵盈太著『一遍踊って死んでみな』(文芸社文庫)を読む。

白蔵さんの作品を読むのは初めてだった。

一遍は鎌倉仏教の時宗の開祖だ。
しかし、一遍自身が教団を作ったわけではない。
一遍の死後、彼の弟子たちが教団を組織したのだ。

遊行上人と呼ばれている一遍は、「踊り念仏」で有名だ。
「捨聖」とも言われていて、死ぬ直前に、自分の身の回りのものすべてを燃やしてしまった。
かなりぶっ飛んだ人である。

この小説の主人公は、ロック好きの高校生のヒロ。
彼は下校途中に雷に打たれ、鎌倉時代にタイムスリップしてしまう。
そこで一遍と出会い、魅了され、一遍の死の直前まで行動をともにする。

物語はヒロの視点で進んでゆく。

「念仏は現代のロック」という視点がおもしろかった。
確かに、言われてみればとても似ていると思う。

とにかくおもしろく、一気に読み終えてしまった。
文体も読みやすく、歴史小説や時代小説に馴染みのない中高生にも楽しめる作品だ。

もちろん、実在の人物とはいえ、人物像は作者が作り上げている。
けれど、「一遍って、こんな人だったかも」と思ってしまうくらい説得力がある。
最高のエンタメ小説だ。

白蔵さんの歴史小説をもっと読みたいと思い、さっそく葛飾北斎が主人公の『画狂老人卍』(文芸社文庫)を注文した。
今から楽しみである。

第152回 プロ野球選手名鑑2025

2025年版のプロ野球選手名鑑を買った。
今年も、昨年同様コスミックス社版の小さい方の選手名鑑を購入した。

NPBの公式戦の開幕戦は3月28日だ。
それまでに我がライオンズの新戦力を頭に入れておきたいと思う。

昨年のライオンズは、91敗の球団ワースト記録を作ってしまった。
どん底の一年だった。
今年は上がるしかない。
せめてAクラスに入ってほしい。

公式戦の前に1試合くらいオープン戦に行きたい。

今からわくわくしている。

第151回 立川談四楼著『七人の弟子』

立川談四楼著『七人の弟子』(左右社)を読む。

立川談四楼師匠は七代目・立川談志の高弟であり、「本書く派」の噺家さんだ。
談四楼師匠の小説は何冊か読んでいるが、落語同様その文体も心地よい。

『七人の弟子』は、ご自身と弟子たちとの関係を書いた実録小説だ。
談四楼師匠のところには、40歳以上の中年の入門志願者が多く来る。

彼らとのやりとり、そして弟子たちに対しての温かい思いが心地よい。
もちろん、人間のすること、良いことばかりではなく、怒りや後味の悪いこともある。
それらのことが包み隠さず書かれている。

本書には、「七人の弟子」「長四楼のこと」、そして「三日間の弟子」の3作品が収められている。
どれも魅力的な作品だが、私は「三日間の弟子」がとくに良かった。
もしかして談四楼師匠の兄弟子になっていたかもしれない原氏という人物が、昔むかし、三日間限定で談志の弟子になったという話だ。
「人生」というものを考えさせられるとともに、やはり立川談志は魅力的な人だったと思った。

『七人の弟子』、たいへんすばらしい作品集だった。