第112回 清水克行著『室町は今日もハードボイルド』

清水克行さんの『室町は今日もハードボイルド』(新潮社)を読む。

清水さんは歴史学者、専門は日本中世史。

日本の中世史(平安時代後期~戦国時代)の人々の「常識」は、現代に生きる我々とは全く違う。それは外国といってもいいほどだ。

この本は、そんな中世に生きる人々と中世社会を興味深く伝えてくれる。

「多様性」「やられたらやり返す」「人身売買は珍しくなかった」「モノには所有者の魂が乗り移っている」「うわなり打ち」「荘園は聖なる場所であった」など、現代人にとって中世社会は驚くことばかりである。

清水さんは「週刊文春」にエッセイを連載されていて、その中で学生の頃はエッセイストになりたかったと書かれていた。
そんな方なので、文章が読みやすく、おもしろく、複雑で難解な中世史もとてもよく理解できるのだ。

清水さんのおかげで、日本中世史がちょっとしたマイブームになっている。

第111回 なかがわ水遊園

ときどき、無性に海が見たくなる。

多くの栃木県人にとって、海といえば茨城県の「大洗」「大洗サンビーチ海水浴場」ではないだろうか?

「次の休みの日には大洗へ海を見に行こう」と思うけれど、いざその日になると、「ちょっと遠いなぁ」「行きはいいけど帰りが面倒」などと思って計画は頓挫する。
そのかわりに那珂川、とくに茂木町の那珂川(「大瀬のやな」周辺)へ行くことが多い。

6月16日(日)も、大洗行きはやめて、那珂川に行ってきた。
ちょっと足を延ばして、大田原市にある「なかがわ水遊園」にも行ってきた。
ここは栃木県人なら誰でも知っている「日本最大級」の「川の水族館」である。

子どもたちが小さかった頃は家族で何度か来たことがある。
今回は、オヤジ一人で行ってきた。

6月15日が「県民の日」ということで、子どもの入場料は無料だった。
もちろん、オヤジは有料、900円の入場料を払って入館する。

やはり家族連れが多かった。

水族館


「鯉のぼり」ではなく「鮎のぼり」がありました。

見ているだけで涼しくなります。

企画展は「メダカ」でした。私は睡蓮鉢3つ、バケツ1つにメダカを飼っています。

園内の芝生広場が美しい。

帰りに、ホームグラウンドならぬ「ホームリバー?」の茂木町の那珂川(「大瀬のやな」周辺)に寄りました。
時間的に遅かったので、私の他は一家族(3人、子どもは小学3年生くらいの男の子?)がいただけ。
その家族もすぐに帰ってしまったので、私一人で那珂川を眺めていました。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」(鴨長明著『方丈記』)などと思いながら。

まだ梁は架けられていませんでした。

わずか5時間弱の小旅行だったが、気分転換できた。
次こそは、大洗に行きたいと思う。でも、また那珂川になりそう。

第110回 桜桃忌2024

昨日、6月19日は太宰治の忌日、桜桃忌だった。
私は桜桃忌前後には太宰作品を読むことにしているが、今年はすっかり忘れていた。
太宰ファンとしては失格である。
反省!

6月19日もあと10分で終わるという時に、慌てて太宰作品を読むことにした。
今回選んだのは「満願」。

「満願」は文庫本でわずか2ページ半。
とても短くて、エッセイのような作品だ。
太宰ファンにはとても評価が高く、心あたたまる大人の作品である。

今年の桜桃忌は終わったが、今月中は太宰の作品を読み返そうと思っている。

※「満願」は、新潮文庫では短編集『走れメロス』に入っています。

第109回 「ブログ100回記念クイズ」当選者発表!

「ブログ100回記念クイズ」にご応募いただきまして、本当にありがとうございました。
クイズの答えと当選者は以下の通りです。

◎クイズの答え 「100」

◎当選者(敬称略)
・不思議の国のアリス
・久保寺琢己
・榎本秀信
・巨人ファン
・佐藤博文
・EXIT
・ひゅ!

当選者の皆様には図書カード(500円分)をお送りします。

◎ブログの感想

・『成瀬は天下を取りにいく』という本を紹介している記事を読みました。私も先生に紹介されて買って読みました。自信をくれる本でした。本の紹介とかは私にとってうれしい情報です。(不思議の国のアリス)

  • いつも拝見させてもらっていますが、勉強になるお話ばかりです。これからもおもしろい記事を書いてください。(久保寺琢己)
  • ブログ「塾長の気まぐれ日記」、いつも楽しく読ませていただいてます。(榎本秀信)
  • 野球のことがのっていておもしろいです。(巨人ファン)
  • 西武ライオンズの情報、面白かったです。勝率上がるといいですね。
  • 塾内の様子が分かる写真が掲載されていて、楽しく拝見しました。(佐藤博文)
  • 私も気まぐれに塾長のブログを拝見しています。自分にも身近な事、興味があり気になった事、読んでいて面白いです。(EXIT)
  • 社会で起こっている問題と絡めた投稿も多く、勉強になっています。(ひゅ!)

ご意見・ご感想をいただきまして、ありがとうございました。
今後も「ゆる~く」書いていきたいと思います。
今後とも、よろしくお願い致します!

第108回 永井紗耶子著『木挽町のあだ討ち』

永井紗耶子著『木挽町のあだ討ち』(新潮社)を読む。

永井さんの本(作品)を読むのはこれで3冊目。

第169回(2023年度)直木賞と第35回山本周五郎賞のダブル受賞作品。

時は江戸時代、舞台は江戸。
睦月(旧暦1月)、晦日(みそか)の雪の降る戌の刻(午後7時~9時頃)に、芝居小屋がある木挽町の裏通りで「仇討ち」があった。
菊之助という若い武士が、父親を殺した下男・作兵衛を斬り、無事仇討ちを成し遂げたのだ。
その2年後、菊之助の縁者である若い侍が木挽町を訪れ、菊之助と深い関係のあった芝居小屋で働く人々(5人)にその「仇討ち」について聞いて回る。

「仇討ち」の真相は、とても意外なものだった。
小説のタイトルは「仇討ち」ではなく「あだ討ち」である。

5人それぞれの語り口は落語を聞いているようで心地よい。
また、一人ひとりのこれまでの人生も明かされ、それらもとても興味深かった。
菊之助と彼らとの心温まる交流も美しい。

永井さんに「やられた!」という感想である。
☆5つ(5個中)の作品だ。
時代小説を読んだことがない人にもオススメの作品である。

少し時間を置いて、もう一度読み返してみたい。

第107回 「西武対巨人」

◆今回はいつもと違って「です・ます調」、写真多め、いわゆる「よくあるブログ」にしました。

6月2日(日)、小雨降る中、交流戦観戦のためにベルーナドーム(埼玉県所沢市)へ行ってきました。
対戦相手はセ・リーグのジャイアンツ(巨人)です。

埼玉西武ライオンズは、前日の土曜日、ジャイアンツにサヨナラ勝ちしました。
さて、この日はどうなるか?

この日のスターティングメンバー。
昨日、代打出場で大活躍した元山飛優選手の名前がありました。

座席は一塁側の内野席。
ベルーナドームは、ライオンズは三塁側です。

普通は一塁側のこの席でもライオンズファンが多いのですが、この日はジャイアンツファンが多かったです。

ジャイアンツの先発は菅野投手。
監督が原監督から阿部監督に変わって、「スガコバコンビ」(菅野投手と小林捕手)復活。
菅野投手は復活したそうですね。
さすが捕手出身の阿部監督です。バッテリーのことが分かっています。

塾生にはジャイアンツファンが多いので岡本選手の写真も載せておきます。

私のお気に入りのベテラン選手、炭谷銀仁朗捕手と中村剛也選手。

チケットは完売でした。

8回裏まで見て、席を立ちました。
結局、1-7で完敗。

西武球場前駅のホーム。
5月26日に休養した松井稼頭央監督が。
急なことで、取り外すことができなかったのでしょう。
気持ちは複雑です。

西武球場前駅の1番線ホームから。
写真はレオライナー。
写真の左にはファームの球場があるのですが、人が写ってしまうのでブログには載せませんでした。

益子町在住のプロ野球ファンは「東京ドームへは行ったことがある」という人は多いです。
是非、ライオンズのベルーナドームへも行ってみて下さい。

西武球場前駅の改札を出れば、もうベルーナドームです。
夏は蒸し暑く(熱中症に注意!)、春先とシーズン終盤は寒い、雨が吹き込む自然豊かなドーム球場です。
トトロの森も近くにあります。行ったことはないですが。

交通はとても不便なのですが、道中も楽しめます。
観戦にオススメの時期は、桜が満開の時期からゴールデン・ウィーク前後です。
ドームの隙間から見える風景が美しいです。

第106回 尾崎俊介著『アメリカは自己啓発本でできている』

最近話題になっている本、尾崎俊介著『アメリカは自己啓発本でできている』(平凡社)を手にとってみる。

尾崎俊介さんの専門はアメリカ文学・アメリカ文化。
そんな著者がアメリカの自己啓発本の研究を始め、まとめたのがこの本だ。

「自己啓発本」はアメリカと日本でくらいしか読まれていないようだ。
この本では、アメリカでの自己啓発本の歴史、有名な本などが紹介されている。
著者は「自己啓発本」の魅力を熱く語っている。

著者は、兼好法師の『徒然草』、内村鑑三の『代表的日本人』、赤瀬川原平著『老人力』、野村克也著『野村ノート』、落合博満著『采配』なども自己啓発本と考えているようだ。
この点は疑問に思った。
これらの本も「自己啓発本」と考えるなら、確かに自己啓発本もおもしろい。

私は「自己啓発本」を10冊読むよりも、名著と言われる文学を1冊読んだほうが、長い目でみれば得られるものは多いと感じている。
ただし、文学には即効性はないのだが。

「所詮、自己啓発本はカンフル剤でしかない」というのが私の意見だ。
こんなことをいうと、自己啓発本が大好きな人には怒られてしまうかもしれない。

年表「アメリカ・日本の自己啓発本」と「参考/引用文献」一覧は資料として有用である。

第105回 松井監督休養について

昨日、埼玉西武ライオンズの松井稼頭央監督の休養が発表された。
監督就任2年目、シーズン途中での実質「解任」である。

FAによる戦力流出、新外国人選手の不調など、今年のライオンズはいろいろと問題があった。松井監督を擁護する声もあるが、私は今回の解任は当然だと思う。

松井監督は人柄がよく、優しい監督だったようだ。選手に対して自主性を重んじていた。
しかし、「厳しさ」が足りなかった。
勝てた試合を落とすことも多かった。
今シーズンのライオンズはチームに活気がなく、最悪の状態だった。

昭和の野球の名門校・PL学園出身の名選手は、監督には向かないのではないか?
最近、そんなことを考えている。

渡辺久信GMが監督代行に就いた。
明日からセ・パ交流戦が始まる。
気持ちを切り替えて、がんばって欲しいと思う。

写真は、5月18日(土)に小山運動公園野球場で行われた栃木ゴールデンブレーブス戦(ライオンズは三軍)。
この中から一軍で活躍するが何人いるか?
期待したい。

第104回 永井紗耶子著『旅立ち寿ぎ申し候』

永井紗耶子著『旅立ち寿ぎ申し候』(小学館)を読む。

永井作品を読むのは『きらん風月』につづいて2作品(2冊目)。

『旅立ち寿ぎ申し候』は永井さんの初期作品で、現在は『福を届けよ ~日本橋紙問屋商い心得』と改題され、小学館文庫で出ている。

主人公は幕末の若き商人・勘七。
桜田門外の変(1960)をはじめとした幕末の動乱の中、勘七は悩みながらも懸命に生きる。そして、立派な若き商人として成長する。

友の死、友情、恋、そして仕事と、内容は現代に通じる。

実在の人物である勝海舟が登場し、勘七と交流する場面も良かった。

以下、印象に残った文。

商いは、苦しむためにやるものじゃないよ。それを暮らしの糧として、日々を楽しむためのものだ。

紀之介さんは、人を不幸にしません。人を幸せにして、己も幸せになれる。そういう人を見ていると、私はとても安らぐんです

今、ここに至るまで私が商人として残っているのは、運と縁の賜物としか申せません

そして、近江商人の有名な経営哲学、「売り手よし、買い手よし、世間よし」

自営業の私としては共感する文が多かった。

すっかり永井紗耶子のファンになってしまった。

今は、第169回(2023年度)の直木賞受賞作、『木挽町のあだ討ち』(新潮社)を読んでいるが、これが非常におもしろいのである。

第103回 「みうらじゅんFES マイブームの全貌展」

ゴールデンウィーク中、しもだて美術館で開催中の「みうらじゅんFES マイブームの全貌展」へ行ってきた。

みうらさんはイラストレーターだが、その仕事は一分野にとどまらない。
氏のオタクぶりは幼少期から始まる。

今回の企画展は、「スマホでの撮影OK」という太っ腹ぶり。
そんなわけでたくさん撮影してきた。

入館すると遺影でのお出迎えで、最初から笑ってしまった。

子供時代からおそろしいほどの収集癖、さまざまな分野のスクラップ、自作のマンガやエッセイ集など、変人・変態ぶりに感動してしまった。

約2時間、みうらじゅんさんの全貌を堪能してきた。

これだけの収集物(もちろん、今回展示されたものは氏の収集物の一部)を保管しておくためには相当のスペースが必要だし、お金もかかっているのだろう。
そう考えたら、ますます感動した。

みうらさんのますますのご活躍をお祈り致します!