第57回 明日は「広島原爆の日」

明日、8月6日は「広島原爆の日」だ。
今年は戦後78年。
またあの日がやってくる。

東京新聞では、毎年「平和の俳句」を募集し、8月中、一面で毎日一句入選作品を紹介している。
選者は作家のいとうせいこうさんと俳人の夏井いつきさん。
今年は昨年を524句上回る6746句が寄せられたそうだ。
入選は30句。
今年は私も投句した。

以下は、8月5日に発表された句と選者・夏井いつきさんの選評である。

教室にはだしのゲンがいない夏 
立部笑子(49) 愛知県日進市

〈夏井いつき〉被爆体験を基にした漫画「はだしのゲン」が平和教材から外されました。原爆の悲惨さに触れる夏が変化していきます。

中沢啓治さんの漫画『はだしのゲン』は、世界24言語で翻訳され、世代や国境を越えて読みつ継がれている名作である。


今年の2月、広島市教育委員会は、市立小学校3年生向けの平和学習教材として引用されていた『はだしのゲン』を、2023年度から別のものに差し替えると発表した。
あれこれと尤もらしい理由をつけているが、保守系団体からの圧力があったと言われている。

なんとも酷い話である。

そういえば、ずいぶん以前に、『はだしのゲン』を学校の図書室から排除しようという動きがあった。
これも保守系団体などの圧力があったのだが、現在はどうなっているのだろうか?

私が小学校の頃は、学校の体育館で、全校生徒で『はだしのゲン』の映画(実写版)を見たものである。
とても良い取り組みだったと思う。

『はだしのゲン』を読めば、戦争は絶対にやってはいけないし、どうやって国民が戦争に巻き込まれていってしまうのかがよく分かる。
私は、「日本人必読の書」であると思っている。

なお、当塾には『はだしのゲン』が置いてあり、過去に熱心に読んでいた塾生がいたし、現在熱心に読んでいる塾生もいる。

第56回 斉藤一美アナを応援します!

2023年7月24日の東京新聞「あの人に迫る」は、文化放送アナウンサーの斉藤一美さんのインタビュー記事、担当は秋田耕平記者だった。
たいへん読み応えのある記事だった。

私は、ラジオは文化放送を聴くことが多い。
文化放送には「ライオンズナイター」という番組があり、斉藤アナは長年、埼玉西武ライオンズの試合を担当されていた。
ライオンズ愛あふれる、絶叫調の実況は、ライオンズファンにとっては本当にありがたいものだった。
関東地方のライオンズファンで斉藤アナを知らない人はいないと思う。

その斉藤アナは、2017年4月にプロ野球の実況を離れ、5年間、報道番組を担当された。
この番組の中で、時の権力に忖度しない、鋭い視点でニュースを紹介されていた。そこがたいへん魅力的だった。
全国紙やテレビのキー局などの大手メディアが、政権に忖度し、真実を伝えなくなってゆく中、斉藤アナの担当された報道番組は貴重な存在だった。

報道番組を担当する際に、「スポーツに戻る気は一切捨てて、報道に骨をうずめる覚悟」でやっていたそうだ。
そして、その報道番組を離れるときは、「本当に断腸の思い」だったそうである。
私も、斉藤アナが報道番組を辞めると聞いたときは本当に残念だった。

斉藤アナは、今年からまたスポーツ実況に戻られた。
絶叫調の「斉藤節」は健在である。
そして、「報道を五年間やって、視野が広くなりました」と語られているように、さらに進化した実況になっていると感じる。

斉藤アナは、「実況に限らず何でもやりたい」と語り、「準備を怠らずに、もうできないと思う日まで、どんなしゃべりの仕事でも受けられるようにしたいと思っています」とインタビューを締めくくった。

魅力的な斉藤一美アナをこれからも応援します。
そして、より多くの方に斉藤アナを知ってほしいと思う。

第55回 さあ夏休み

栃木県内の小中学校は昨日から夏休みだ。
当塾は昨日までが1学期の通常授業だった。24日から28日は授業は休みで、31日から夏休みの授業開始となる。
一週間授業はないが、この間に、三者面談会や新入生の面談などもある。また、中3生の夏期講習会をはじめとした授業の準備もあるので、なかなか忙しい。

夏休み、小中学生にとっては約40日間の休みとなる。
やるべき勉強はしっかりとやりつつ、是非、楽しく過ごしてほしい。
夏祭り、花火大会、盆踊りなど、夏のイベントはたくさんある。
家族で海や山へ出かけたり、旅行したりする人もいるだろう。
ここ数年は制限の多い夏休みだったが、今年はコロナ禍以前の夏休みに戻った。自身の体調に気をつけて、夏休みを満喫してほしい。

小中学生のみなさんには、もちろん高校生も、是非、読書をしてほしい。
「〇年生の夏休みに『○○』を読んだ」というのは、大人になっても覚えているもの。
この夏休みに、すばらしい本と出会ってほしい。

本に関して雑食の私は、ジャンルを問わず、さまざまな本やマンガを同時に十数冊読み進めている。
その中でも、今夢中なのは、宇都宮東高出身の門井慶喜さんの『自由は死せず』(双葉文庫)と水島新司さんの野球マンガ『ドカベン』(秋田文庫)の2作品だ。
前者は、板垣退助が主人公の歴史小説。今日ちょうど上巻を読み終えたところ。
後者は、言わずとしれた名作で、何回目かの再読となる。文庫版で31巻あって、現在は3巻を読んでいる。
主人公の山田太郎と相棒の岩鬼正美は、まだ鷹丘中で柔道をやっている。
今年の夏休みは、この2作品と暑い夏を熱く過ごすつもりだ。

さて、2023年の夏休みに、みなさんはどんな本と共に過ごすのだろうか?
塾生や卒業生のみなさん、よかったら読んだ本の感想を聞かせて下さい。

読み返す漱石「こころ」夏休み

第54回 君よ七月に熱くなれ

高校野球栃木大会が今月7日に開幕する。
今年もこの時期がやってきた。
高校野球ファンとしては今からわくわくしている。

先日、当塾の卒業生(高1生)から「ベンチ入りが決まりました!」というLINEがきた。
文武両道でがんばっている卒業生だ。「是非、試合を見に来て下さい」と書いてあった。
私は完全夜型人間なので、第一試合の観戦は、しかも猛暑の中で行われる夏の大会はなかなか辛いものがある。
当日の天気と当日の体調を考慮して、行けそうだったら行くと伝えておいた。

当日、現地観戦をする、しないにかかわらず、卒業生たちを応援したい。
7月10日の第一試合は「真岡高―茂木高」。真岡高野球部には卒業生が1人、茂木高野球部には卒業生が2人在籍している。
どちらを応援すべきか?
どちらも応援しよう。

真岡工業高の野球部にも当塾の卒業生が2人在籍している。そのうちの1人は3年生だ。
昨年の秋の大会では、現地観戦をして彼を応援してきた。
彼にとっては最後の大会となる。悔いのないような大会にして欲しい。

私にとっては、甲子園大会よりも栃木大会の方がおもしろい。
もう何年も前から、栃木大会で燃え尽きて、甲子園は気楽に試合結果を確認する程度になっている。
とにかく、怪我をしないようにプレーを楽しんで欲しい。 「君よ八月に熱くなれ」という名曲があるが、全国の高校球児のみなさん、七月に熱くなって下さい!

第53回 桜桃忌

6月19日は桜桃忌。
無頼派作家である太宰治の忌日である。
晩年の作品「桜桃」から名づけられた。

太宰好きの私は、桜桃忌が近づくと、太宰の作品を読み返し、「桜桃忌」「太宰忌」で俳句を作るようにしている。
今年は例年より熱が入っていて、6月に入ってから「太宰治強化月間」と銘打って、太宰の作品を読んでいる。

学生時代、太宰のお墓がある東京三鷹市の禅林寺の桜桃忌に参加したことがあり、また、太宰の故郷の津軽へ一人旅もした。太宰の生家・斜陽館は当時旅館だったので、そこに宿泊してきた。

太宰の魅力はたくさんあるが、その一つは独特の文体だ。
読者に語りかけているような文体に、若者はコロッとやられるのである。もちろん、私もやられた口だ。
また、作品の中に決め台詞が散りばめられていて、それがとてもかっこいいのだ。
以下、思いつくままに紹介する(作品発表順ではありません)。

『人間失格』
恥の多い生涯を送ってきました。

ただ、一さいは過ぎて行きます。

◆『お伽草子』の「カチカチ山」
曰く、惚れたが悪いか。

◆『走れメロス』
中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。

◆『家庭の幸福』
曰く、家庭の幸福は諸悪の本。

◆『桜桃』
子供より親が大事、と思いたい。

◆『晩年』の「葉」
死のうと思っていた。

◆『富嶽百景』
富士には月見草がよく似合う。

まだまだたくさんある。

私の個人的な体験だが、「太宰好きの人」や「太宰が好きだった人」と話をするのは非常におもしろいのだ。
太宰が好きでなかったとしても、若い頃に太宰を読んだ人は、そうでない人と違う印象がある。

作家の好き嫌いはあるが、是非、若い人には「太宰治」を体験して欲しいと思う。
よかったら、太宰について大いに語り合いましょう。

木も道も人も濡れたり桜桃忌

第52回 「ブログ50回記念クイズ」当選者発表!

「ブログ50回記念クイズ」にご応募いただいた皆様、本当にありがとうございました。
抽選の結果、以下の5名の方が当選しました。当選した皆様、おめでとうございます。
5名の方には景品をお送り致します。しばらくお待ち下さい。

◆クイズの答え:「50」
◆当選者:あさちゃん、法師人耀斗、孔明、たむちゃん、板橋区の佐藤(敬称略)

◆以下、当選された方の感想を掲載します。

あさちゃん
子供が塾を卒業しても、今でも時々、塾長の気まぐれ日記を読ませていただいています。読書家である塾長のオススメの本や野球の話題など、自分にも興味関心があることばかりなので、毎回とても楽しみです。一年間でブログを50回ということは、一週間に一回。とてもすごいことだと思います。『塾長の気まぐれ日記』、一冊の本に出来るくらいの素晴らしいブログだと思います。これからも気まぐれに、頑張って下さい!

法師人耀斗
塾長さんが自分の趣味や今日やった事などが細かく書いてあってすごくわかりやすかったです。1番好きな日記が第47回目の「野球に最適な季節と天気は」です。僕も野球観戦を時々するので、わかります。1番野球観戦に大事なのが季節や天気だといっても過言ではありません! これからも塾長の日記は見続けます。

孔明
50回おめでとう! 色々なことに興味をもっていないと簡単には続けられないと思うので、すごいと思っています。また、たまに自分のことが出てくるのでうれしいです。次は100回を目指してください。

たむちゃん
50回おめでとう。これからも定期的に続けてください。応援してます。

板橋区の佐藤
こんにちは。50回目の節目、おめでとうございます。丁寧で正確な文章で、塾長先生のお人柄が感じられます。これからも100回、200回と続けてください。


あたたかいご感想をいただきまして、ありがとうございました。
みなさんの応援を励みとして、これからも書き続けてゆきたいと思います。
お時間がある時に感想をお寄せいただけるとうれしいです。感想はブログ内で紹介します。
今後とも、よろしくお願い致します。

第51回 充実した高校生活を!

5月15日に塾通信「Step By Step」の合格特集号が完成し、22日と23日に塾生に配付した。そして、卒業生には記念写真、色紙のコピーなどと一緒に郵送した。
ここ数日、卒業生や卒業生の保護者様からお礼のLINEをいただいている。

LINEには近況も書かれている。
「成績が上位でいる」「苦戦しつつもがんばっている」「勉強と部活を両立している」など様々だが、第26期生たちが元気に高校生活を送っているようでうれしい。

高校生活は本当に短い。あっという間に終わってしまう。
だから、何だっていいので夢中になれるものを見つけて、それに邁進してほしい。
勉強、部活、趣味、なんだっていい。
もちろん、反社会的なことは絶対にダメである。SNSで一生を棒に振ってしまっている高校生も多いので注意されたし。

さて、私の高校時代についてである。
私自身のことを考えてみると、読書に夢中になっていた。正直、勉強そっちのけで本ばかり読んでいた。
そのため、大学受験では苦労したのだが、今となっては、あれはあれで良かったかなと思っている。

私が高校生になって最初に読んだ本は、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』(文春文庫)全8巻だ。
友人にすすめられて読み始めると、おもしろくてその世界にどんどんのめり込んで行った。

土佐出身の坂本龍馬は、江戸に遊学し、さまざまな人物と出会うことによって、人間として大きく成長してゆく。
この歴史小説は、青春小説であり、教養小説(成長小説)として読むことができる。
『竜馬がゆく』全8巻を高1の4月から時間をかけてじっくりと読んだ。このことは、今では懐かしい思い出である。

司馬遼太郎作品については、明治時代を理想化し過ぎている、登場人物を格好良く書き過ぎている、天皇に対する記述を避けている、問題のある「英雄史観」など、言いたいことはたくさんある。
これらについてはいつか当ブログで書きたいと思っている。

それはさておき、「歴史小説は史実ではない」、「歴史小説は歴史を基にした小説である」ということを分かった上で読むのであれば、司馬遼太郎の『竜馬がゆく』はとてもおもしろく、オススメの作品だ。
是非、青春時代を生きている高校生に読んで欲しい。

卒業生のみなさん、充実した高校生活を送って下さい!

第50回 当ブログが50回目を迎えました

今日は「こどもの日」ですが、みなさん、いかがお過ごしですか?

おかげさまで、当ブログ「塾長の気まぐれ日記」が今回で50回目を迎えることができました。
昨年の5月に当塾のホームページをリニューアルしました。それを機に、当ブログを始めました。
第1回目は5月2日でしたので、約1年間でちょうど50回目を迎えたことになります。

たまに保護者様から当ブログの感想をいただくことがあります。
感想をいただくと、たいへんうれしいです。
本当にありがとうございます。

無事50回目を迎えることができたことを感謝して、ささやかですがプレゼント企画を行います。
以下のクイズにお答え下さい。
正解者の中から5名の方に図書カード500円分をプレゼント致します。
奮ってご応募下さい。

ブログ50回記念クイズ

以下の空欄の中に正しい数字を入れて下さい。

尚朋スクールのブログ「塾長の気まぐれ日記」は、2023年の5月5日で(   )回目を迎えました。

答えの分かった方は、答えと必要事項をご記入の上、以下の方法でご応募下さい。

記入事項

  • クイズの答え
  • ブログ「塾長の気まぐれ日記」の感想(必ずお書き下さい。)
  • 名前(本名)、住所、電話番号、職業・学校名
  • 正解者の発表時のニックネーム(本名でも構わない場合は書かなくてOKです。)

応募方法

  • 塾長とLINEがつながっている方はLINEでお送り下さい。
  • 上記以外の方は、塾のホームページの「お問い合わせフォーム」からお送り下さい。

締切日:5月27日(土)

当選者の発表:5月29日(月)以降に当ブログ上で発表します。

いただいた感想は当ブログ上で発表する場合があります。あらかじめご了承下さい。

今後もぼちぼちと書いてゆきます。
何卒、よろしくお願い申し上げます。

第49回  今日は荷風忌

4月30日、今日は作家の永井荷風の忌日である。
永井荷風は、1879年(明治12年)に生まれ、1959年(昭和34年)の4月30日に亡くなった。
個人主義を貫いた変人作家だった。

私は荷風の熱心な読者ではないが、荷風の生き方に共感する。
戦時中、時局に迎合した文学者が多かった中、荷風は時局に流されず、個人主義を貫き、発表のあてのない作品と日記『断腸亭日乗』を書き続けた。 荷風の日記である『断腸亭日乗』、「断腸亭」は荷風の別号、「日乗」は日記のこと。
荷風はこの日記を、38歳から79歳の死の前日まで書き続けた。最後の頃の日記はメモ程度であった。
以下が死の前日の日記。

四月廿九日。祭日。陰。

一人暮らしの孤独死だった。

今日は、『断腸亭日乗』と『荷風俳句集』を読んで過ごそうと思う。

第48回 宮島未奈著『成瀬は天下を取りにいく』

宮島未奈著『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)を読む。
この本には、「新潮社主催の新人賞で史上初の三冠に輝いた」作品である「ありがとう西武大津店」を含む、計6作品が収められている。

舞台は滋賀県大津市。
主人公は、強烈な個性を持つ「成瀬あかり」。
彼女の周辺の人物が、それぞれの視点で、中2の夏から高3の夏までの「成瀬あかり」を語るという形式で物語はすすんでゆく。

成瀬あかりは、とにかくマイペース。
周囲の目など気にせずに、それが成功するかどうかも気にせずに、やりたいことをやっていく。
彼女の圧倒的な行動力に周囲は影響され、なぜか元気になってゆく。

本の帯には、小説家、マンガ家、芸人やアーティストなど、各界から熱いコメントが寄せられている。
確かに、それも納得の最高の青春小説なのだ。

残りまであと10ページという感動のところで、妻がいろいろと話しかけてきた。
適当に相槌を打ちながら読んでいたが、我慢できなくなり、「お願い、あと少しで終わるから本に集中させて」と頼み、ラストシーンを味わった。
涙を流しつつ、本を閉じた。

本のカバー(イラスト)が、西武大津店をバックにして、埼玉西武ライオンズのユニホームを着た成瀬あかりというのも、ライオンズファンの私としてはうれしいところ。
「私の2023年度のベスト10」候補作品であることは間違いない。

是非、中学生、高校生、大学生、そして人生に疲れ気味の大人たちにも読んで欲しい。
読んで絶対に損はしないし、本当に元気が出るから。
映画化して欲しいし、大学生になった成瀬あかり、社会人になった成瀬あかりも見てみたい。
続編を期待する。