第7回 『歴史・時代小説教室』を読む

安部龍太郎・門井慶喜・畠中恵著『歴史・時代小説教室』(文春新書)を読んだ。
これは歴史・時代小説を書きたい人向けに行ったオンライン講座を本にしたものらしい。
歴史・時代小説の分野で活躍されているお三方が各1回、司会者の質問、受講者の質問に答えるという対談形式で進んでいく。

お三方のお名前は書店でよく見かけるが、私が実際に読んだことがあるのは門井慶喜さんのみ。ちなみに門井さんは宇都宮東高出身で、栃木県と縁のある方だ。

私は歴史小説や時代小説を好んで読む。だから、プロの作家がどのような準備(取材や史料収集など)をして、どのような心構えで書いているのかということについて非常に興味があった。

この本でお三方は、史実とフィクションとの兼ね合い、史料を読む時間と執筆に当てる時間の配分、どんな史料を利用しているのか、史料の整理方法、登場人物の会話の文体はどうしているのかなど、その裏側を惜しげもなく開陳してくれている。最初から最後まで「目から鱗」といった内容であった。
歴史小説や時代小説を書こうという気持ちのない人(もちろん、私もないが)にも読んでほしい一冊である。

この本をきっかけに、これまで読んだことのなかった安部龍太郎さんと畠中恵さんの小説を買ってきて読み始めた。そして、安部龍太郎さんの『家康①』(幻冬舎時代小説文庫)は私の心にヒットした。現在、文庫本で6巻まで出ているようなので、しばらくの間は楽しめそうである。

第6回 「二松学舎大附属―山梨学院」観戦記

今日は中学3年生の国語の授業がある日。
基本的に、授業がある日は朝早くから活動しないようにしている。しかし、今日は例外だ。なぜなら、春季関東地区高等学校野球大会で、二松学舎大附属高(東京2位)と山梨学院高(山梨1位)の試合があるからだ。
この日のために授業の準備は昨日までに済ませておいたので、曇天の中、車で宇都宮清原球場へ向かうことにした。

関東大会というだけあって観客は多かった。グリーンベルトには車がびっしりとあった。そして、今日も臨時駐車場(キャノン)が設けられていた。
臨時駐車場から球場へ歩いて行く途中、第一試合の観戦を終えて、駐車場に向かう人たちとすれ違った。監督の采配などに文句を言っていたグループが数組あった。その中には、「推し」のチームのキャップを被っている人も。監督の采配に文句を言うのもチーム愛あってのことである。

入場時に、ちょっと驚いた。
次男(大学1年生)の高3時の担任で野球部監督のK先生が、スタッフとしてお仕事をされていたのだ。K先生にはたいへんお世話になった。まさかK先生にまたお会いして、お話しすることができるとは思っていなかったので、とてもうれしかった。

今日の私の「推し」のチームは二松学舎大附属高である。
二松学舎大附属高は先攻なので三塁側ベンチを使用。ファンは、普通であれば応援するチーム側の席に座るものだが、あえて一塁側に座ることにした。二松学舎大附属高のベンチの中の様子を観察したかったからだ。
私は、二松学舎大附属高の市原勝人監督のファンなのだ。
市原監督はかつて二松学舎附属高3年の春に、センバツで準優勝投手となった人である。それほど大きくない体で、表情を変えず、時には笑顔を見せ、一人で淡々と投げ続けていたその姿に、中学生だった私はすっかり魅せられてしまった。1982年のことだ。
市原監督自身が左投げだったためか、二松学舎附属高野球部は左投げの投手が大好きだ。今年のチームのエースナンバーの布施東海投手も左投げ。そして、今日先発した背番号10の辻大雅投手も左投げだ。

二松学舎大附属高のユニホームは、アイボリーの前開きシャツ。首と袖、パンツに大学のスクールカラーのグリーン(松葉緑)のラインが入っている。そして、左胸には縦に「二松学舎」という文字。文字が縦書きというところ、前身が漢学塾だけのことはある。
文豪の夏目漱石や柔道家・教育者の嘉納治五郎は二松学舎で学び、実業家の渋沢栄一は3代目舎長(今の学長といったところか)を務めたというのは有名な話。

市原監督は、ベンチ奥の右端(一塁側スタンドから見ると左端)の壁に背中をつけて座っていた。試合中はあまり動かない。その姿は、故野村克也監督のようだった。

試合は終始、1回裏に2点をとった山梨学院有利の展開で進んだ。曇天から小雨になり、傘をさしながらの観戦となった。私は上着を忘れてしまったので、寒さに震えての観戦になってしまった。
6回裏が終わったところで「二松学舎大附1―6山梨学院」。雨脚も強くなり試合は一時中断となった。私はこれを機に帰ることにした。

球場を出る際も、出入り口付近でK先生が誘導の仕事をされていた。
お邪魔かと思ったが、次男の近況や野球部についてお話しさせていただいた。
この場にK先生がいらっしゃるということは、他のスタッフの方々も高校の先生なのかもしれない。そういえば、グランドやスタンドには宇都宮北高のユニホームを着た球児たちがいて、裏方の仕事をしていたっけ。
多くの人たちの支えがあって、高校野球ファンが試合を楽しむことができている。
感謝をしなければと思いつつ、激しい雨の中、帰路についた。

※試合の結果は「二松学舎大附4―8山梨学院」であった。

第5回 啄木の歌

今朝、妻が、鉢植えで育てている薔薇の花を切って食卓に飾った。
庭にある鉢の薔薇もきれいだけれど、食卓に飾った薔薇もまた美しい。鼻を近づけると桃のような良い香りがする。
部屋に花や植物があると、生活の質がぐっと上がる気がする。
そして思い出すのが石川啄木の次の歌だ。

友がみなわれよりえらく見ゆる日よ
花を買ひ来て
妻としたしむ

歌人・石川啄木の魅力は、その精神の振れ幅の大きさだ。
「俺は天才だ!」と思ったら、次の日には「俺はもうダメだ」と絶望したりする。この振れ幅が面白い。
人間だれしも気持ちの浮き沈みはある。それでも何とか折り合いをつけて生活しているのが大人というものだ。しかし、歌人・啄木は常人ではない。精神の浮き沈みが激しいし、その浮き沈みに命を懸けているといった印象がある。そこが啄木の最大の魅力である。
歌人としてはすごく魅力的な啄木だが、その生活は破綻していた。友人、知人、会社に借金をしまくり、平気で踏み倒す。「借金を返さなきゃ、でも返せない」と窮地に陥った時、たった一晩で、壁に物を投げつけるように何十首も歌を作ってしまう。
その歌は、今でも我々の心を大きく揺さぶるのだ。
啄木、本当は小説家になりたかったのだけれど。

ときどき妄想する。
自分が啄木と同時代に生きていて、啄木の友人・知人だったとしたらと。
きっと私は「嫌な奴」とか「迷惑な奴」と思ったはず。喧嘩別れしたかもしれない。
今、純粋に作品のみで啄木と対話できるというのは、後世に生きる者の幸せというべきか。

中学生の頃に買い、黄ばみ、ボロボロになった啄木の歌集、久保田正文編『石川啄木歌集』(旺文社文庫、280円)は私の宝物である。

第4回  躍動するルーキー 西武・滝澤夏央選手

埼玉西武ライオンズに新星が現れた。
育成ドラフト2位、高卒1年目の18歳、滝澤夏央選手である。
先日、西武のみならず球界を代表する名遊撃手・源田壮亮選手が怪我をしてしまった。そのバックアップとして、急遽5月13日に支配下登録された。それにともない背番号は「126」から「62」と憧れの二桁に。支配下登録されたその日に一軍昇格。「2番・遊撃手」として初出場すると、なんと、プロ初安打、プロ初得点を記録。そして、その日のお立ち台にまで立ってしまうという大活躍。
身長164cm、小さな体で元気いっぱいに躍動する姿に、ライオンズファンはすっかり魅了されてしまった。お立ち台での初々しい受け答えも二重丸だった。

昨日、そんな滝澤選手を楽しみにして、ライオンズの本拠地、私にとっての聖地ベルーナドームへ足を運んだ。
コロナ禍以前、2019年まではチケットを入手するのが難しかったが、コロナ禍が続く今では特別な日(レプリカユニホーム配付日など)を除いて、当日でも簡単にチケットを手に入れることができるようになった。以前は、土日祝日は「ほぼ満員」が当たり前だったが、今はエリアによってはスカスカである。観客としてはありがたいのだけれど、球団の経営を考えると複雑な気持ちである。

対戦相手は東北楽天ゴールデンイーグルス。
我がライオンズは、6回まで「1-3」で負けていた。流れとしては、このまま負けてしまうのではないかという試合展開。
まあ、「おかわり君」ことベテランの中村剛也選手のホームラン(今季4号、通算446号)を生で見ることができたので「今日は良しとするか」と、一緒に観戦した次男(大学1年生)と話していた。
ちなみに、中村選手は5月13日に445号を放ち、あの長嶋茂雄さんの本塁打数を抜いて歴代単独14位に躍り出た。これは本当にすごい数字だ。
中村選手のホームランは、バットを軽く振ったように見えて、きれいなアーチを描いてスタンドに入る。滞空時間の長い美しいホームランだ。現在のライオンズの4番、ホームランバッターの山川穂高選手は、思い切り振り抜いて、ズドンとスタンドに入るホームラン。同じホームランバッターでも全然違う印象だ。もちろん、どちらも見ていてわくわくする、すばらしい打者である。

7回裏、ライオンズの攻撃。川越誠司選手のレフトへのタイムリーヒットでスコアは「西2-4楽」となる。ライオンズのチャンスは続く。
球場にはライオンズのチャンステーマ4が鳴り響く。コロナ禍でなければ、球場全体に地響きのようなファンの声援が響き渡ったはずだ。今は大きな拍手で応援である。

2アウトランナー1・3塁で、昨日のラッキーボーイである滝澤選手が登場曲とともに打席に向かう。登場曲は、なにわ男子の「夢わたし」。
コロナ禍以前であれば、「ナツオ! ナツオ!」と大声援が響くところ。
楽天のピッチャーは勝ちパターンの中継ぎ・安樂智大投手。0-1からの3球目、滝澤選手がセンターへのタイムリースリーベースを放ち「4-4」の同点となる。球場のファンは大喜びである。私も、つい拳を突き上げ、喜びの声を出してしまった。
ここまででも驚きなのに、このあとがさらにすごい。
次の打者・外崎修汰選手に対して、安樂投手が暴投をすると、滝澤選手はそのすきを突いて好走塁。ホームにかえって、西武は「5-4」と逆転に成功する。

その後、ライオンズは勝ちパターンの必勝リレー。
8回表は平良海馬投手、9回は5月1日に通算150セーブをあげた増田達至投手。
結局、「5-4」でライオンズが勝利し、ライオンズファンにとっては最高の試合となった。
そして、なんと、この日のお立ち台に上がったのはルーキー滝澤選手である。
ルーキーの2日連続のヒーローインタビュー。西武ファンは、滝澤選手の初々しく、元気いっぱいのプレーにすっかり魅せられてしまった。
先輩の選手たちからも、「ナツオ、ナツオ」と言われて可愛がられているようである。

これからも、躍動するルーキー・滝澤夏央選手に注目してゆきたいと思う。
滝澤選手の大活躍を生で見ることができて本当に良かった。これだから生観戦はやめられない。
マスクを外し、以前のようにファンが一体となって声を出して応援できるようになれば、さらに言うことなしである。

第3回 新生活、慣れてないのが当たり前

先日、当塾のホームページをリニューアルし、ブログ「塾長の気まぐれ日記」を始めたことを、塾生と保護者の皆様、卒業生たちにLINEで報告しました。

すると、たくさんの方々が近況やブログの感想などを送ってくれました。
「塾長の気まぐれ日記、おもしろかったです」「これからも楽しみにしています」「時々のぞきにきます」などとうれしいことを書いてくれた卒業生もいました。感謝、感謝です。

これからも「ゆる~く」書いてゆきたいと思います。暇な時にお読み下さい。
忙しい中、感想を送っていただいき、本当にありがとうございました!


さて、高校1年生になったばかりの卒業生(第25期生)の中には、「学校生活にはまだ慣れていないけれど、なんとか頑張っています」というようなことを書いてくれた人が何人かいました。

そうです。まだ5月です。新生活に慣れていなくて当然です。
高校に入学し、新学期がスタートし、新しい環境に慣れるのに必死だったと思います。怒涛の1か月だったことでしょう。高校入学は喜ばしいことですが、生活ががらりと変わり、緊張した毎日を送ることになるので、知らず知らずのうちにストレスがたまっているものです。

1学期中は、まず、高校生活に慣れることを第一に考え、くれぐれも無理をし過ぎないようにして下さい。
また、失敗することは悪いことではありません。いろいろなことにチャレンジし、小さな失敗をたくさんして、少しずつ成長して下さい。応援しています!

現在、塾通信「Step By Step」の合格特集号を作成中です。
6月中には第25期生のみなさんのもとへ、合格祝賀会時に撮影した集合写真と一緒に届けたいと思います。しばらくお待ち下さい。

一日一日、楽しく過ごしてゆきましょう!


最後に、私の好きなこの季節の俳句です。

摩天楼より新緑がパセリほど  鷹羽狩行

第2回 生観戦の楽しみを書こうと思ったのですが

野球観戦が趣味です。
とくに球場に行き、生で試合を見るのが好きです。

私の家から宇都宮清原球場までは、車で30分ちょっとで行けます。そんなわけで、高校野球は主に宇都宮清原球場で観戦しています。

現在、高校野球の春季大会中です。

今大会は、卒業生が主力で活躍している茂木高(対栃木工業高、4月23日)と真岡工業高(対青藍泰斗高、4月29日)の試合に行きました。

残念ながら、どちらも負けてしまいましたが、卒業生たちの一生懸命に頑張る姿を見て、たくさんの元気をもらいました。

そして今日、準決勝の二試合、「栃木工業高-作新学院高」(第一試合)、「佐野日大高-青藍泰斗高」(第二試合)の試合を見に行きました。
ゴールデンウィーク中の準決勝ということもあって、観客は多く、キャノンの宇都宮工場が臨時駐車場になっていました。
臨時駐車場から球場に向かう間、新緑がとても美しく、頬を撫でる風が気持ちよかったです。

今日は三塁側の内野席で見ていました。
第二試合(佐野日大高-青藍泰斗高)が始まって少しすると、なんと、私の席の5、6メー離れた右下の席に、作新学院の名将、小針監督が座っているではありませんか。

小針崇宏監督、23歳で母校の作新学院高の監督に就任。
就任3年目で低迷していた作新学院を甲子園に導く。
現在38歳、これまで甲子園に春夏通算13回出場、17勝11敗、勝率.607 、優勝1回。

あの小針監督です。
びっくりしました。
ついさっきまで、ダッグアウトで指揮を取っていた小針監督です。
明日の決勝戦に向けて、どちらと対戦するか偵察していたのでしょう。
正直、どきどきして、試合に集中できなくなってしまいました。

カバンにマネージャー手作りと思われる「鍛錬」と刺繍されたボール型のお守り(?)がつけられていて、それがとても印象的でした。
保護者や卒業生のような人たちが次々とやってきて挨拶していました。私も小針監督のところに行って、ご挨拶したいと思ってしまいました。
6回終了後(この時点で6-1で佐野日大が勝っていました)に席を立ち、お帰りになりました。
私は「明日の試合もがんばって下さい!」と心の中でつぶやきました。
結局、試合は9―1、7回コールドで佐野日大の大勝。

明日の決勝は「佐野日大高-作新学院高」です。

今回は生観戦の楽しみを書こうと思ったのですが、調子が狂ってしまいました。
生観戦の楽しみについては、いつか書きたいと思います。
まあ、こんなことがあるのも生観戦の楽しみなのかもしれません。

第1回 「塾長の気まぐれ日記」を始めます

この度、当塾のホームページをリニューアルしました。

ここ数年、「リニューアルしなければ、リニューアルしなければ」という謎のプレッシャーを感じつつ、勉強嫌いな子どもにとっての夏休みの宿題のように、先延ばし、先延ばしになっていました。

いろいろと事情があって、ホームページをリニューアルしなければならない状況になり、さすがにお尻に火がつきました。

というわけで、今年のゴールデンウィーク中にリニューアルの準備に取り掛かり、進めてきました。

長年パソコン関係でたくさん助けてもらっている友人のSさん、そして今年大学院を卒業して社会人になったばかりの長男の力を借りて、この度、なんとかリニューアルできたという次第です。

この二人には本当に感謝しています。
デジタル弱者の私にとって、この二人はスーパーマン、いえ神様です。
本当にありがとうございます。

さて、これを機に「塾長の気まぐれ日記」を始めます。

「気まぐれ」ですので、「毎日」とか「週に1回」とか、はっきりしたことは言えません。
自分の首を締めないように「気まぐれ」に投稿してゆきます。
何卒、よろしくお願い申し上げます。