第117回 原田マハ著『板上に咲く』

原田マハ著『板上に咲く』(幻冬舎)を読む。

この作品は「史実に基づいたフィクション」である。

主人公は版画家の棟方志功。
ゴッホに憧れ、貧しい生活の中で創作に励み、柳宗悦や濱田庄司と知り合い、才能を見出される。そして「世界の棟方」となった。

私が棟方志功を知ったのは大学生の時だ。
青森県に一人旅をしたとき、青森市内の美術館(?)で棟方の作品を見た。
縦長の大きな作品「二菩薩釈迦十代弟子」に圧倒された。

棟方の作品を見ていると元気がでる。
久しぶりに昔買った棟方の作品集を出してきた。

熱い夏、棟方の版画を見て元気をもらおうと思う。

第116回 いよいよ開幕!

第106回全国高校野球選手権栃木大会が12日に開幕する。

当塾の複数の卒業生たちも、各高校の野球部でがんばっている。

卒業生のあるお母様は、レギュラー入りしたことを伝えて下さった。
また、別の卒業生のお母様は、ユニホームの写真(前と後ろ)の写真を送って下さった。
試合の放送予定の情報を教えて下さったお母様も。

夏の大会は、体調を考えてテレビとネットで観戦する予定。

私としては、全国大会よりも栃木大会の方が燃えるのだ。
そして栃木大会が終わると燃え尽きてしまう。

卒業生の高校球児のみなさん、そして全国の高校球児のみなさん、体調に気をつけて、熱い夏にして下さい!

※写真は、山際淳司さんの名作『スローカーブを、もう一球』(角川文庫)

第115回 201教室の黒板を新調しました

7月8日に201教室の黒板を新調しました。

201教室の黒板としては「3代目」です。

4年前、101教室の黒板(3代目)を新調し、その時とまったく同じ黒板ですが、値段が約1.6倍に値上がりしていました。
ここでも物価高を実感しています。

「3代目」の黒板でも、塾生たちに多くのことを伝えてゆきたいと思います。

第114回 本郷和人・島田裕巳共著『鎌倉仏教のミカタ』

歴史学者の本郷和人さんと作家・宗教学者の島田裕巳さんの対談集『鎌倉仏教のミカタ』(祥伝社新書)を読む。

お二人とも一般向けの本(新書)をたくさん書かれていて、私はけっこう読んでいる。
興味深い本が多く、毎回いろいろと勉強させていただいている。

このお二人による対談集、しかも私が興味のある「鎌倉仏教」がテーマということもあって、あっという間に読み終えてしまった。
副題に「定説と常識を覆す」とあり、まったくその通りの内容だった。

以下、とくに印象に残った部分。

中世には神と仏が混淆し、キリスト教神話にも匹敵する巨大で混沌とした精神世界が成立していた。だから鎌倉仏教は、宗派ごとにカテゴライズするのではなく、さまざまな要素が入り交じるものとしてとらえたほうがいい

(本郷氏、P208)

明治時代になって寺請制度がなくなり、廃仏毀釈なども起こり、各宗派は開祖が偉大な存在であるとアピールする必要に迫られます。そして、どんどん神格化され、存在が大きくなっていきました。

(島田氏、P215)

西洋には、連綿と続く哲学者の系譜がある。しかし日本には、残念ながらそのような人物が存在しない。だから開祖たちを持ち出して、その役割を担わせたわけですよね。

(本郷氏、P215)

そこからしても、やはり創作されたものだと思いますよ。宗派ができあがったことで、過去が変容させられているわけです。

(島田氏、P215)

宗教の教祖や開祖というものは、実はそんなものなのかもしれない。

お二人の対談の続きを読みたいと思った。

第113回 「香害」「日用品公害」についての投書(2本)

当塾では、「香害」や「日用品公害」について積極的に発信しています。

お子さんとご自身の健康を守るために、少しでも多くの方に「香害」「日用品公害」などの問題を知ってほしいです。

香り長持ちの柔軟剤だけでなく、抗菌剤入り洗剤や抗菌消臭スプレーも人体に悪影響を及ぼします。記憶力や集中力を低下させるため、学力面でも関係してきます。

以下は、今年、東京新聞と下野新聞に掲載された拙文です。

◆国が「香害」規制して!

東京新聞 2024年3月27日掲載

合成洗剤、柔軟仕上げ剤などに含まれる合成香料のにおいによって体調を崩す人が増えている。交流サイト(SNS)上では、これらの製品が原因で体調を崩してしまった人たち、化学物質過敏症になってしまった人たちがその苦しみを訴えている。

私は経営している学習塾で、約1年前から「香害」や「日用品公害」について、保護者や子どもたちに積極的に発信している。この問題に対して積極的に取り組んでいる自治体もある。先日の国会では、高橋千鶴子衆議院議員が取り上げてくださった。

多くの人に「香害」「日用品公害」を知ってほしい。国は健康被害をもたらすこれらの製品を今すぐ規制すべきだ。そして、洗剤メーカーには被害者の声を真摯に受け止めてほしい。

◆洗剤成分で被害「香害」の認識を

下野新聞 2024年4月9日掲載

4月9日付の本紙にマイクロプラスチック(MP)についての記事があった。MPというと包装容器や衣料品の細かくなった物を思い浮かべる人が多いが、MPは香り長持ちの柔軟剤にも使用されている。

柔軟剤や抗菌剤入り洗剤、抗菌消臭スプレーで体調を崩している人が増えている。化学物質過敏症を発症してしまう人も多い。周囲の人が利用する柔軟剤や洗剤で体調を崩してしまうため、学校や会社に行けない、仕事を辞めなければならない人も少なくない。これらの問題は「香害」や「日用品公害」と言われ、SNS上で被害を訴えている人がたくさんいる。

佐久市や宝塚市のように、この問題に対して積極的な対策をとっている自治体もあるが、全国的に見れば少数だ。是非、多くの方に「香害」や「日用品公害」などの問題について知って欲しいと思う。

第112回 清水克行著『室町は今日もハードボイルド』

清水克行さんの『室町は今日もハードボイルド』(新潮社)を読む。

清水さんは歴史学者、専門は日本中世史。

日本の中世史(平安時代後期~戦国時代)の人々の「常識」は、現代に生きる我々とは全く違う。それは外国といってもいいほどだ。

この本は、そんな中世に生きる人々と中世社会を興味深く伝えてくれる。

「多様性」「やられたらやり返す」「人身売買は珍しくなかった」「モノには所有者の魂が乗り移っている」「うわなり打ち」「荘園は聖なる場所であった」など、現代人にとって中世社会は驚くことばかりである。

清水さんは「週刊文春」にエッセイを連載されていて、その中で学生の頃はエッセイストになりたかったと書かれていた。
そんな方なので、文章が読みやすく、おもしろく、複雑で難解な中世史もとてもよく理解できるのだ。

清水さんのおかげで、日本中世史がちょっとしたマイブームになっている。

第111回 なかがわ水遊園

ときどき、無性に海が見たくなる。

多くの栃木県人にとって、海といえば茨城県の「大洗」「大洗サンビーチ海水浴場」ではないだろうか?

「次の休みの日には大洗へ海を見に行こう」と思うけれど、いざその日になると、「ちょっと遠いなぁ」「行きはいいけど帰りが面倒」などと思って計画は頓挫する。
そのかわりに那珂川、とくに茂木町の那珂川(「大瀬のやな」周辺)へ行くことが多い。

6月16日(日)も、大洗行きはやめて、那珂川に行ってきた。
ちょっと足を延ばして、大田原市にある「なかがわ水遊園」にも行ってきた。
ここは栃木県人なら誰でも知っている「日本最大級」の「川の水族館」である。

子どもたちが小さかった頃は家族で何度か来たことがある。
今回は、オヤジ一人で行ってきた。

6月15日が「県民の日」ということで、子どもの入場料は無料だった。
もちろん、オヤジは有料、900円の入場料を払って入館する。

やはり家族連れが多かった。

水族館


「鯉のぼり」ではなく「鮎のぼり」がありました。

見ているだけで涼しくなります。

企画展は「メダカ」でした。私は睡蓮鉢3つ、バケツ1つにメダカを飼っています。

園内の芝生広場が美しい。

帰りに、ホームグラウンドならぬ「ホームリバー?」の茂木町の那珂川(「大瀬のやな」周辺)に寄りました。
時間的に遅かったので、私の他は一家族(3人、子どもは小学3年生くらいの男の子?)がいただけ。
その家族もすぐに帰ってしまったので、私一人で那珂川を眺めていました。
「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」(鴨長明著『方丈記』)などと思いながら。

まだ梁は架けられていませんでした。

わずか5時間弱の小旅行だったが、気分転換できた。
次こそは、大洗に行きたいと思う。でも、また那珂川になりそう。

第110回 桜桃忌2024

昨日、6月19日は太宰治の忌日、桜桃忌だった。
私は桜桃忌前後には太宰作品を読むことにしているが、今年はすっかり忘れていた。
太宰ファンとしては失格である。
反省!

6月19日もあと10分で終わるという時に、慌てて太宰作品を読むことにした。
今回選んだのは「満願」。

「満願」は文庫本でわずか2ページ半。
とても短くて、エッセイのような作品だ。
太宰ファンにはとても評価が高く、心あたたまる大人の作品である。

今年の桜桃忌は終わったが、今月中は太宰の作品を読み返そうと思っている。

※「満願」は、新潮文庫では短編集『走れメロス』に入っています。

第109回 「ブログ100回記念クイズ」当選者発表!

「ブログ100回記念クイズ」にご応募いただきまして、本当にありがとうございました。
クイズの答えと当選者は以下の通りです。

◎クイズの答え 「100」

◎当選者(敬称略)
・不思議の国のアリス
・久保寺琢己
・榎本秀信
・巨人ファン
・佐藤博文
・EXIT
・ひゅ!

当選者の皆様には図書カード(500円分)をお送りします。

◎ブログの感想

・『成瀬は天下を取りにいく』という本を紹介している記事を読みました。私も先生に紹介されて買って読みました。自信をくれる本でした。本の紹介とかは私にとってうれしい情報です。(不思議の国のアリス)

  • いつも拝見させてもらっていますが、勉強になるお話ばかりです。これからもおもしろい記事を書いてください。(久保寺琢己)
  • ブログ「塾長の気まぐれ日記」、いつも楽しく読ませていただいてます。(榎本秀信)
  • 野球のことがのっていておもしろいです。(巨人ファン)
  • 西武ライオンズの情報、面白かったです。勝率上がるといいですね。
  • 塾内の様子が分かる写真が掲載されていて、楽しく拝見しました。(佐藤博文)
  • 私も気まぐれに塾長のブログを拝見しています。自分にも身近な事、興味があり気になった事、読んでいて面白いです。(EXIT)
  • 社会で起こっている問題と絡めた投稿も多く、勉強になっています。(ひゅ!)

ご意見・ご感想をいただきまして、ありがとうございました。
今後も「ゆる~く」書いていきたいと思います。
今後とも、よろしくお願い致します!

第108回 永井紗耶子著『木挽町のあだ討ち』

永井紗耶子著『木挽町のあだ討ち』(新潮社)を読む。

永井さんの本(作品)を読むのはこれで3冊目。

第169回(2023年度)直木賞と第35回山本周五郎賞のダブル受賞作品。

時は江戸時代、舞台は江戸。
睦月(旧暦1月)、晦日(みそか)の雪の降る戌の刻(午後7時~9時頃)に、芝居小屋がある木挽町の裏通りで「仇討ち」があった。
菊之助という若い武士が、父親を殺した下男・作兵衛を斬り、無事仇討ちを成し遂げたのだ。
その2年後、菊之助の縁者である若い侍が木挽町を訪れ、菊之助と深い関係のあった芝居小屋で働く人々(5人)にその「仇討ち」について聞いて回る。

「仇討ち」の真相は、とても意外なものだった。
小説のタイトルは「仇討ち」ではなく「あだ討ち」である。

5人それぞれの語り口は落語を聞いているようで心地よい。
また、一人ひとりのこれまでの人生も明かされ、それらもとても興味深かった。
菊之助と彼らとの心温まる交流も美しい。

永井さんに「やられた!」という感想である。
☆5つ(5個中)の作品だ。
時代小説を読んだことがない人にもオススメの作品である。

少し時間を置いて、もう一度読み返してみたい。