第187回 『池上彰の世界の見方 朝鮮半島』

『池上彰の世界の見方 朝鮮半島』(小学館)を読む。

先日、録画していたNHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」、「激動 アジアの隣人たち 韓国 戒厳令との闘い」を見て、韓国の現代史に興味を持った。

そこで、1980年の光州事件を扱った韓国映画「タクシー運転手 約束は海を越えて」(2017年公開)を見た。
その後、手にした本が『池上彰の世界の見方 朝鮮半島』である。

戦後の韓国は、独裁者の大統領が続き、国民は命を懸けて闘った。
韓国の現代史は血塗られた歴史である。

『池上彰の世界の見方 朝鮮半島』は、入門書としては最適の本である。
朝鮮半島の現代史をもっと深く知りたいと思っている。

第186回 「男はつらいよ」 若い人ぜひ見て

以下は下野新聞(2025年7月21日)に掲載された拙文です。

「男はつらいよ」 若い人ぜひ見て

先日の本紙に、映画監督の山田洋次さんの記事があり、強く共感した。私は「男はつらいよ」のファンで、年に数本は必ず見ている。この映画のストーリー構成はシンプルだ。フーテンの寅さんが旅先で恋に落ち、故郷の葛飾柴又や旅先で騒動を起こし、最後は失恋し、また旅に出るというもの。寅さんの含蓄あるセリフ、家族との酒宴、タコ社長とのけんかなど、楽しいシーンがたくさんある。

毎回お決まりの展開なのに何度見ても飽きない。見終わった後はいつも温かい気持ちになれる。それは、登場人物たちがけんかはしても常に相手を思いやる気持ちがあるからだろう。

作品には濃密な人間関係が存在している。時代は変わっても、人間の本質的な部分は変わらないはずだ。ぜひ若い人たちにもこの名作シリーズを見て、何かを感じてほしいと思う。

第185回 デジタル教育 見直しを

以下は東京新聞(2025年7月3日)に掲載された拙文です。

デジタル教育 見直しを

6月18日「考える広場」の「デジタル教育のひずみは?」を読み、教育学者の児美川孝一郎氏の意見に共感した。小中学生対象の学習塾を約30年間やっているが、昔の子どもたちと比べて、読解力や思考力、集中力や忍耐力の低下を感じる。

特に、コロナ禍後に大きく変化したと思う。理由はいろいろあるだろうが、交流サイト(SNS)の利用時間の増加、学校でのデジタル教育の比重の高まりなどが大きな理由ではないか。

成長過程にある子どもにとって、紙の本を読む、紙の辞書で調べる、鉛筆を使って文字を書くことはとても大切だ。私は、保護者や子どもたちに「デジタル教育のマイナス面」を折に触れて伝えている。国は、効率優先の姿勢を改め、GIGAスクール構想を早急に見直すべきである。

第184回 夏のいま、読んでみたい1冊

以下は東京新聞(2025年7月12日)の読書欄、「月イチ読書会」に掲載された拙文です。

本当はもう少し長い文章なのですが、紙面の都合で短くなった上で掲載されました。

『スローカーブを、もう一球』山際淳司著

ノンフィクションの傑作短編集。1980年の秋、強豪校がひしめく秋の関東大会での、公立進学校の大躍進を描いた表題作は、客観的な視点で淡々と進む展開が新鮮。名作「江夏の21球」も入っています。昭和の高校野球とプロ野球の熱い雰囲気が味わえる。(角川文庫・616円)

第183回 全ての高校球児 悔いのない夏を

以下は下野新聞(2025年6月27日)に掲載された拙文です。

全ての高校球児 悔いのない夏を

18日に夏の全国高校野球選手権栃木大会の抽選会が行われ、対戦カードが決まった。この時期なると、夏本番の到来を実感する。高校野球のファンだが、全国大会よりも地方大会の方に興味がある。強豪校同士のレベルの高い試合も、部員がぎりぎりのチームや連合チームの試合を見るのも楽しい。

私は小中学生対象の学習塾を経営しているが、毎年、当塾の卒業生の高校球児がいる。彼らの活躍を追い、応援している。球場に足を運び、現地で応援することもある。卒業生たちの成長した姿を見たり聞いたりすることは大きな喜びだ。

現在、当塾の卒業生たちは、公立・私立合わせて4高校の野球部に所属している。3年生も数人いる。彼らを、そして全ての高校球児を応援したい。球児のみなさん、今年の夏を、悔いのない、熱い夏にしてください。

第182回 新堂冬樹著『直木賞を取らなかった男』

新堂冬樹著『直木賞を取らなかった男』(光文社)を読む。

新堂冬樹さんの作品は書店で何度も見かけるが、これまで読んだことはなかった。
今回、初めて読んだ。

これは自伝的な作品らしい。
新人作家の日向誠は、編集者の磯川諒介の強いすすめで、あえて直木賞をあきらめ、売れる作家への道を選択する。
ここから、売れっ子作家としての人生が始まる。

「直木賞を取れなかった男」ではなく、自らの意志で「直木賞を取らなかった男」になった日向。
長年にわたる日向と磯川の友情が美しい。 ラストまでぐいぐい読ませる作品だった。

第181回 ドラゴンズファンは恐い?

6月14日(土)、ベルーナドームで行われた「埼玉西武ライオンズ対中日ドラゴンズ」の試合を観戦した。
東京に住む大学生の次男とJR新秋津駅で待ち合わせをして、久しぶりに親子で観戦した。

次男が中日ファンということもあり、ビジターファンが多い一塁側の内野席に座った。
ビジターファンが多い一塁側といっても、普段は西武ファンもたくさんいるのだが、この日は違っていた。
観客のほとんどが中日ファンなのである。

ドラゴンズファンは、ユニフォームに竜や言葉を刺繍している人の割合が高く、なかなかすごいのである。
正直、ちょっと恐い? 竜だし?
実は、そんなドラファンを見るのも楽しい。

ドラゴンズの本拠地バンテリンドームで試合を観戦したことのある次男の話では、ユニフォームに刺繍をしている人の割合は関東のファンが多いそうだ。
しかも、関東のドラファンが圧倒的に「熱い」のだそうだ。

中日の試合はこれまでたくさん現地で観戦したが、今でも忘れられないドラファンが何人もいる。
この日も、これからも忘れないだろうと思うドラファンを見た。
生観戦の楽しみの一つである。

試合は2-1で西武の勝利。
締まった良い試合だった。
チケットは「完売」だったようである。

本当に楽しい一日となるはずだった。
次男が財布を落とさなければ。

第180回 林望著『節約を楽しむ』

「リンボウ先生」こと林望先生の『節約を楽しむ』(朝日新聞社)を読む。

私は学生時代に、林先生の『イギリスはおいしい』(平凡社)を読んだ。
それ以降、すべてではないが、林先生の作品を読んできた。
その林先生は、もう76歳だそうだ。
実に感慨深い。

『節約を楽しむ』は、林先生が考える「お金の使い方」「節約術」についての本だ。
「筋金入りのへそ曲がり」の林先生の考え方に共感した。
私も、林先生と似たような考え方で生きている。

さて、この本が若い人たちに受け入れられるかどうかはわからないが、ぜひ二十代・三十代の若い人たちに読んでほしい。

社会人の長男と大学生の次男に紹介しようと思う。

第179回 新聞をさらに深く味わう

以下は東京新聞(2025年5月24日)に掲載された拙文です。

新聞をさらに深く味わう

「ずっと電子辞書とともに」(5日発言欄)を読んで、「上には上があるものだ」と思った。

私は新聞や雑誌が好きで、東京新聞と地元紙の2紙を、さらに週刊誌1誌を購読している。また、図書館で購読紙以外の全国紙に、購読誌以外の週刊誌や月刊誌に目を通すようにしている。大きな出来事があった時は、図書館で新聞各紙を読み比べることもある。この時代、自分はそれなりに読んでいる方かと思っていた。

しかし投稿者は、元日と憲法記念日、8月15日には新聞7紙を入手し、吟味しているという。とてもかなわないと脱帽した。年齢も住む場所も違うが「東京新聞の読者」という共通点がある。私も見習って、さらに日々精進していきたいと思う。

第178回 『友ありてこそ、五・七・五』

東京やなぎ句会編『友ありてこそ、五・七・五』(岩波書店)を読む。

東京やなぎ句会は、作家や俳優、落語家たちによる、とても有名な句会である。
入船亭扇橋(俳号・光石)が宗匠、永六輔(俳号・六丁目)、小沢昭一(俳号・変哲)、柳家小三治(俳号・土茶)など、有名な方々の素人句会だ。

この本は、「東京やなぎ句会」として3冊目の本だそうだ。
『友ありてこそ、五・七・五』からは、とても楽しい雰囲気が伝わってくる。

この本が出版されたのは2013年、メンバーのほとんどの方が鬼籍に入られて、現在は「東京やなぎ句会」自体はなくなってしまったそうだ。

句会や歌会は本当に楽しい。
私は、句会と歌会の両方に参加しているが、毎回、仲間から多くの刺激を受けている。

句会(年4回)は約15名、歌会(奇数月)は8名でやっている。
今の句会には、かなり昔の当塾の卒業生のお母様が参加されている。

会場で再会した時は、本当に驚いた。

7月に歌会がある。
今から楽しみにしている。